「僕がフリーキックを蹴らないと誰が蹴ると言うんですか」
「欲張らずにチーム・プレーをしますよ。もちろんゴールを決めれば新聞の一面を飾れるんですが、06年W杯ドイツ大会に出場できてこそ、我々の年俸も上がりますからね」
唐突な言い方に歯切れの良いプレー。彼がいてファンは楽しい。サッカーの韓国代表の李天秀(イ・チョンス、23、ヌマンシア)。韓国選手の中で唯一、「サッカーのエルドラド」と呼ばれるスペイン・フリメガリガでプレーしている彼は相変わらず自信に満ちていた。06年W杯ドイツ大会地域予選のために帰国した彼を、16日、坡州(パジュ)サッカー国家代表トレーニングセンター(NFC)で会った。
「スペインでの生活は幸せです。言葉はあまりよく通じませんが、どの選手でも会った瞬間友達になります。身振り手振りを使って。スペイン語ができないからと言って、心配する性格でもないですし」。今季、レアル・ソシエダからヌマンシアにレンタル移籍されたが、彼は少しも滅入る気配がなかった。
まだスペイン舞台でゴールを記録できずにいることについても、「ゴールポストに当てさえしなければよいのですが(最近二度もゴールポストに当てる)…、法事でもやらないといけないだろうかね。でも、今度はボールがゴールネットを揺らすでしょう」と言う。
彼は代表で試合や訓練の時、決まってフリーキックを蹴る。他の選手には機会を与えようともしない。
「僕がやらないと決められないんです。僕があまりにもでしゃばるから、ボンフレール監督も何も言いません。たまに素敵なゴールを決めているでしょう」
ファンが彼のことを好む理由は言葉に終わらないためだ。彼は今年五輪代表と国家代表を行き来しながら、危機の瞬間のたびに韓国サッカーを救った。9月8日、W杯アジア地域2次予選ベトナム戦でも幻想的なフリーキックで2−1の勝利を牽引し、五輪最終予選の3月17日、イラン遠征試合でも千金のような決勝ゴールを決めて、1—0の勝利を導いた。試合中、どんな状況でもあきらめずにボールを追いかける彼は代表チームの活力素だ。
李天秀の所属チームのフランチャイズのソリア市は、彼を「今年の選手」に選定した。肌の色は違うが、はばかることなくグラウンドを走り回り主力になった彼を「ヌマンシアのスター」と認めたものだ。
梁鍾久 yjongk@donga.com