
○秋の嶺で会ったチャンスン
全羅北道淳昌郡福興面(チョルラプクト・スンチャングン・ポクフンミョン)ソマ里のチュリョン・チャンスン村。海抜320mの峠の坂に位置し、夏の肌寒い天気、冬の雪景色でも有名な所だ。しかし何と言っても秋の美しさにはかなわず、別名を秋の嶺、チュリョンと呼ばれている。
ここで1年の間に作られたチャンスン(道端に立てて里数を示したり、村の守り神として村の入り口に立てておく男女の一対のチャンスン)を集めて、チャンスン祭りを開いている。今年で10回目となる。韓国的な特色を活かした祭りの一つに語られるイベントだ。
昔から、村の入り口ごとに滑稽な姿で立ち、暖かみと余裕を感じさせるチャンスン。現代化の波の中にそっと影を潜めたものの、その笑みと笑いを記憶するチュリョン村では、依然として秋祭りの主人公だ。
国内の唯一のチャンスン村として知られているここでは、街角ごとに韓国の伝統チャンスンはもとより、アフリカ、シベリア、インドなどから渡ってきた作品までびっしりと並んでいる。約2000坪の空間に様々な顔のチャンスンが総勢1000点。
長い舌を出した蛇チャンスンなどの十二支の神像をはじめ、着飾った男女の一対のチャンスンなど様々な形のチャンスンは、見ているだけでも面白い。大半が目をむいて閻魔大王を彷彿とさせる怪異な姿だが、じっと見ていると、心やさしいお爺さんのようだ。また「捨てれば得る」「何があっても1日に3度は笑おう」など、チャンスンごとに刻まれた文句を見れば、改めて生きる姿を振り返させる。
○自作のチャンスンの顔は
チャンスン村の中には、先史時代の穴蔵を再現した四角の藁でできた穴蔵があって、しばらく休むのにちょうどいい空間だ。村の中央でチャンスンが壁のように並んでいる居酒屋では、芳しい伝統茶も味わうことができる。無料でチャンスンの絵を描いてくれる所もある。
チャンスンを直接作ることもできる。村長のユン・フングァンさんと技能者らが、直接チャンスンを彫る講習を行なう。特に、都会の子ども達にとって、チャンスンは不慣れな存在だが、チャンスン彫刻体験(1人当り2万ウォン)をすれば、いつの間にかチャンスンと友達になれる。興奮した顔で木を彫る子ども達の手さばきは、なかなかのものだ。何よりも、ただの丸太が、時間が経つにつれてチャンスンに変わる姿が、不思議なようだ。
チャンスン彫刻は思ったほど難しくない。まず香ばしい木のにおいが漂う松を、長さ50〜60cmに切って木皮を剥ぎ、技能者が顔の形の輪郭を取ってくれる。目、鼻、口などの細部の形は、全面的に作る者の役割だ。
大きな目にしたければ、大きくて丸い目の周辺を深く彫り、鋭い目を表現したければ、楕円形の切れ長な目の周りを少し彫ればいい。ある程度チャンスンの姿を保つには、目と口を大きく彫るのがポイント。チャンスン一つを家族が共同で、目、鼻、口をそれぞれ引き受けて競争するかのように彫る姿も、心温まる。
チャンスン一つを彫るのに、2時間ほどかかる。長く木を彫っていると手首が痛くなるが、いつの間にか情あふれる顔で目の前に現われたチャンスンを見れば、心が満たされる。
しかしチャンスンを作っている間は、鋭いのみと金づちを使わなければならないので、雑念は禁物。集中力を発揮して細心な注意を傾ければ、素敵なチャンスンになる。希望すればチャンスンに色を塗って、家に持ち帰ることもできる。
○カンチョン山の赤い散策路
チャンスンを作った後、車で15分の距離にあるカンチョン山にも行ってみよう。淳昌郡と全羅南道潭陽郡(チョルラナムド・タムヤングン)の間に位置するカンチョン山は、ネジャン山と共に全羅北道の紅葉を代表する名山。高さは584mしかないが、淳昌の人々は蟾津江(ソムジンガン)を超えて智異山(チリサン)よりも誇りに思っている。深い渓谷と屏風のように取り巻くキアム絶壁などが、山の名を高めてくれるからだ。
特に、秋にはチケット売り場から陸橋までの道が、紅葉の散策路として人気が高い。平坦な道の横を流れるカンチョン川が、赤いカーペットを敷いたように赤い紅葉の海に変わる。人ひとりが通れる陸橋(地上で50m)を歩くのも、ここならではの味だ。鉄橋であるにもかかわらず、中間では揺れ、足が震えるほどだ。カンチョン山の紅葉は、今月末から来月初旬が絶頂。チュリョン・チャンスン村063-652-5596。カンチョン山管理事務所063-650-1533
◆記事=チェ・ミソン(旅行プランナー)tigerlion007@hanmail.net
◆写真=シン・ソクキョ(フリー写真作家)rainstorm4953@hanmail.net






