国家人権委員会(人権委)は24日、全員委員会の審議を経て、国家機関としては初めて、国家保安法(国保法)を全面廃止することを、国会議長と法務部長官に勧告した。
これは、政界及び市民団体で国保法改廃を巡り論議が起こっている中での勧告であり、かなりの波紋が予想される。ウリ党は、国保法廃止勧告を歓迎するムードだが、ハンナラ党は、改正ではない廃止には反対するという立場を示した。人権委の金昌国(キム・チャングク)委員長は同日、記者会見を通じて、「現行の国保法は、法律の恣意的適用ならびに規定そのものの不備によって、絶えず人権侵害論議をもたらしてきた」とし、「一部条文の改正では、国保法の広範囲な人権侵害を治癒することができないと判断した」と述べた。
人権委は、国保法廃止の根拠として、△1948年に、刑法制定以前の臨時的な法として作られたが、吸収廃止されず、△国民的合意なしに7回の改正があり、手続きの面で正当性に欠け、△法的に罪刑法定主義と行為刑法に反する「心情刑法」であるにもかかわらず、思想と良心、表現の自由を広範囲に侵害するためだと指摘した。
人権委はまた、「国保法廃止の際、安保犯罪に対する空白及び北朝鮮とのバランスの問題を憂慮する見方が多いが、刑法などの従来の法律でも規律が可能であり、北朝鮮には国保法のような安保特別法が別途にない点などを考慮して、十分に対応が可能だ」とつけ加えた。
全員委員会では、空席の1人を除く10人の委員のうち、8人が全面廃止を、2人が全面改正の意見を示したとされる。
金委員長は、「必要ならば不十分な部分に対しては、刑法の関連条文を改正補完する案を講ずることもできる」とし、「韓国は国際社会の一員として、国際社会の世論と決定を受け入れなければならず、北朝鮮に対する姿勢も、時代的環境の変化に応じる必要がある」と話した。
人権委の勧告は、法的拘束力はないものの、これまで相当な影響力を行使してきており、人権委の勧告を受け入れない場合、人権違法によって疎明書を提出することになっている。
人権委は昨年1月、国保法改廃問題を10大人権懸案課題の1つに指定して以来、昨年3月から1年2ヵ月の間、タスクフォースチームを構成して国保法を研究してきた。全員委員会はこれを基に、先月26日から3度に渡って審議を行なった。
丁陽煥 朴民赫 ray@donga.com mhpark@donga.com






