98年8月17日付のニューヨーク・タイムズは、1面でビックリするような記事を掲載した。「北朝鮮が寧辺(ヨンビョン)近くに大規模な地下核施設を極秘裏に建設しており、このため94年の米朝枠組み合意で凍結された核開発計画が、再稼動される可能性が高い」という内容だった。「工事現場の衛星写真を確保した」という米情報機関関係者の言葉を引用した同記事は、その後数ヵ月間、両国の葛藤の起爆剤になった。いわゆる「金倉里疑惑」だった。
◆米国は金倉里に対する査察を北朝鮮に要求し、北朝鮮は強く反発した。北朝鮮は、問題の地下施設は核開発とは無関係だとし、米国がどうしても現場調査をすると言うなら、「侮辱」に対する対価を払うべきだと主張した。北朝鮮は3億ドルという具体的な金額まで提示した。熾烈な神経戦の末、両国は翌年3月に合意に至った。金倉里査察と食糧60万トンの支援を交換するというのが骨子だった。それから2ヵ月後、金倉里を訪れた米国視察団は空っぽの洞窟を目にした。
◆専門家らは、金倉里騒動を北朝鮮交渉術の成功事例の一つだという。一つの事案をいくつかに割って、交渉の度に一つずつ取り出す「サラミ(salami)戦略」が北朝鮮交渉術の基本なら、金倉里事件は過去になかったカードを新たに作ってまでして、対価を得た事例だ。米国としては査察を通じて北朝鮮の核施設建設を中止させたと自らを慰めたが、ともかく洞窟を見物しただけにしては、対価があまりにも大きかった。
◆一昨日、北朝鮮の白南淳(ペク・ナムスン)外相が、「金倉里解法」を再び言及した。論議になっている高濃縮ウラン(HEU)と関連して、「米国が根拠を提示すれば、金倉里事件の時のように見せる」と明らかにしたのだ。無論「無料」ではない。問題は「金倉里解法」で、北朝鮮のウラン核開発疑惑を解消することができるのかという点だが、答は断然「ノー(No)」である。プルトニウム核開発と違って、ウラン核開発装備は、北朝鮮がその気になればどこにでも隠すことができるためだ。北朝鮮に一度だまされた米国が、また同じ手にひっかかることはない。ならば本当の解法は何か?北朝鮮も、核放棄を宣言したリビアの先例に従うこと、結局それが最善である。この明白な事実を、北朝鮮はいつ頃悟るのだろうか。
宋文弘(ソン・ムンホン)論説委員songmh@donga.com






