韓国人ほど、ヘアースタイルに巧みな変化を与えることで、意思表示の手段にしている国民も珍しい。人生の門出を暗示するために髪を整えたり、怒りと抗議の表れとして髪を剃り落としたりもする。髪を剃り落とすことは、各種デモや遊説の場において、最も象徴的なパフォーマンスとなって久しい。映画俳優と監督が、スクリーンクォーターの縮小に反対の声を唱えながら、またスポーツ選手は、連敗に対する反省と必勝を誓う意味で、髪を剃り落としている。僧侶たちも、常々髪を剃り落とすことで、出家時の初心に帰って行くのだ。
◆これは、男性に限ったことではない。女性が髪を短く切ったり、パーマをかけたりするのは、心境に何らかの変化があることの暗示である。妻のヘアースタイルが変わったことに気づかない夫は、愛されることを諦めたのも同然だ。人気作家C氏のエピソードである。妻が何度も「髪を短く切ったらどうかしら」と聞くので、返事をしなかったところ、ある日突然、美容院に行っては髪をばっさり切ってきたそうだ。その妻は、またもや「やっぱりおかしいでしょう」と、夫にうるさく聞き始めたという。「感受性の作家」ですら気づかなかった「女心」である。
◆折しも1960〜70年代、大統領専属の理髪師を描いた「孝子洞(ヒョジャドン)理髪師」という映画が人気を博していることを機に、歴代大統領の専属理髪師たちの体験話が話題を呼んでいる。元軍人の大統領たちは、短くまとまった髪型を注文した反面、民間出身の大統領たちは、個性のあるヘアースタイルを好んだという。髪の手入れはしても「警護上の理由から」ひげを剃ることはできなかった。とりわけ、髪の毛が薄かった全斗煥(チョン・ドゥファン)元大統領が、意外と髪の手入れに敏感だったという。「大理会(大統領理髪師の会)」という集まりもあるそうだ。
◆弾劾審判が棄却されてから、盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領のヘアースタイルが変わった。盧大統領は、聴聞会のスターとして名を馳せていた1年生国会議員のころは長髪だったが、総選挙と釜山(ブサン)市長選に相次いで落選した浪人時代には、ざんばら髪に変えた。海洋水産部長官在任時には、公務員らしい七三の髪型だったが大統領就任後、カリスマを漂わせるオールバックスタイルにして強い印象を与えた。(弾劾訴追の棄却決定で)職務に復帰した後は、スポーツ型に変えた。盧大統領の新しいヘアースタイルが含蓄している政治的意味合いと、今後の歩みに注目したい。大統領が髪を剃り落とすような状況にならないことを祈りたい。
呉明哲(オ・ミョンチョル)論説委員 oscar@donga.com






