市民団体を中心に腐敗と不正に連座した自治団体長をリコールできる制度を取り入れようとの声が大きくなっている。一部自治団体では実際に、「住民リコール条例」制定を請願した場合もある。
このような中で、ハンナラ党とヨルリンウリ党が総選挙を控え、国会議員に対する国民リコール制の導入を検討していると発表し、住民リコール制立法化も弾みを受けるとみられる。
▲多様なリコール制導入を主張〓京畿道九里市(キョンギド・クリシ)YMCAなど市民団体らは昨年12月、市民4000人から署名をもらって、全国で初めて「公職者リコールに関する条例」制定を九里市に請願した。
また、光州(クァンジュ)地域の市民団体らで構成された「腐敗政治家退出住民リコール条例制定本部」も今年2月、光州市に条例制定請願書を提出した状態だ。この両地域の議会は早ければ今月末、臨時会でそれぞれ条例案を審議する予定だ。
光州地域の代表署名者である姜昶遠(カン・チャンウォン)弁護士は、「同運動は地方自治の主人である住民が選出職公務員に対する職位剥奪を通じて本然の権利を取り戻すのが目的で、憲法上の基本権に当たる」と言った。
慶尚南道昌原市(キョンサンナムド・チャンウォンシ)では昨年、市民団体が選挙法違反で起訴された鞖漢星(ベ・ハンソン)市長に対し重刑宣告を促す「住民リコール署名用紙」を裁判所に提出した。
鞖市場は先月初め、最高裁判所で刑が確定され、市長職を失った。
また、蔚山(ウルサン)YMCAは全国57のYMCAと一緒に、昨年、住民リコール制および住民投票制導入を促す地方自治法改訂要求書を国会に提出した。
光州光山区(クァンサング)では昇進人事と関連し、夫人が収賄の疑いで拘束された区役所長に対し、市民団体が内部的に「リコール投票」を実施したこともある。
全羅南道(チョンラナムド)の場合、最近、民主党を脱党してヨルリンウリ党への入党意思を発表した朴泰栄(パク・テヨン)道知事を狙って、道議員39人が住民リコール条例案を発議して注目を受けたこともある。
▲したたかな反対の声〓住民リコール制度が行政の安全性を害するとの理由で弊害を指摘する声も相当ある。
光州市議会の関係者は、「上位法が無い現実で、果たして条例だけで住民リコール手続きを行えるかどうか疑問だ。政府の関連法律制定の動きなどを総合的に考慮して判断する問題だ」と、留保的な態度をみせた。
蔚山蔚州郡(ウルジュグン)議会の卞良燮(ビョン・ヤンソプ)議長は、「地方自治体長まで政党公認を経なければならない政治の現実で、落選した反対党の勢力がこれを悪用する恐れがある。そのうえ、発議だけでも行政空白と住民分裂をもたらすなど所信行政をむしろ難しくする可能性がある」との理由で反対した。
▲住民リコール制〓米国の場合、昨年、映画俳優アーノルド・シュワルツェネッガー氏がリコール投票を通じて一躍カリフォルニア州知事のポストに就いたこともあったが、韓国人にはまだ慣れてない制度だ。
また、韓国ではリコール制導入の焦点が政策失敗より収賄など不正清算に世論が集められるのが特色だ。最近では、総選挙を控え、「渡り鳥団体長」まで続出する状況まで加勢し、リコール制導入の主張が説得力を得つつある。