
プロバスケットボールのKCC体育館に行くと、他の選手よりひとまわり小さい選手がいる。李ハンボム(24、1m68)。10のバスケ球団のうち最も背が低い。最近はバスケの選手といえば1m90を超えるのが普通だ。だが、こんな長身の中で李の存在はそう小さくない。
「バスケをやるのに背丈は問題になりません。1m60のマグジー・ボーグスも米プロバスケで活躍しました。私はボーグスよりもっと高いですよ」
ボーグスは01年トロント・ラプターズで引退するまで889試合に出場し、1試合当たり8.8得点、7.6アシスト、2.6リバウンド、0.54スチールを記録した「チビ選手」の希望。李・ハンボムは「バスケはタイミング。2m台のセンターにカバーされてもいくらでもドライブインできる」と自信満々の様子を見せた。
李はまだ予備選手。今月初めに新人のドラフトで2ラウンド4順位(全体14順位)で指名され、来季から出場する。だから練習の時もゴールの下でバウンドしたボールやゴールに失敗したボールをリバウンドして先輩に投げるのが主な任務。
だからと言って、練習しないというわけではない。全州(チョンジュ)のホーム試合で宿舎のリベラホテルから競技場の全州室内体育館まで4kmを一人で走っていく。戻ってくる時も同じである。最近LGとの昌原(チャンウォン)での遠征試合の時も宿舎のドラゴンホテルから昌原室内体育館まで走ったこともある。
遠目で見た李の姿は黒人を思わせる。ガムをグチャグチャと噛み、スポーツ刈りの頭に顔も真っ黒だ。ヒップホップを楽しみ、歩き方もヒップホップスタイルだ。
「黒人だったらと思ったこともありました。バスケをもっとうまくやれただろうから。黒人選手はよく飛ぶじゃないですか」。
髪の毛は5年前から3日に一度一人で刈る。だから、髪の毛の長さは常に2mm。髪の毛が長いと気が散るからだ。
李ハンボムの経歴は面白い。7歳の時に初めてバスケットボールを手にし、汝矣島(ヨイド)中学2年生の時ハーフコート・マンツーマン・バスケ大会に出場してスカウトされ、弘益(ホンイク)大学付属中学に転校。同大学付属高校を卒業して成均館(ソンギュンカン)大学に進学したが、縛り付けられた生活がいやになって飛び出した。夜になると町の公園でバスケをして2年。職もないまま01年に軍に入隊した。
「軍に服務していた時、閑さえあればプッシュアップとバーベルでウェイトトレーニングしました。つかの間の休暇にボールを手にすると、手の感覚細胞が一度に息を吹き返してむずむずしてたまりませんでした」。
バスケは長身のスポーツ。短身という致命的なハンディを持っていながら李はなぜバスケを選んだのだろうか。
「バスケットボールを手にしただけでどんなに幸せな気分になるかわかりません。他の友達はコンピューターゲームにはまっていますが、私はスタークラフトもできません。そんなのに時間をとられるのがいやで」。
李がKCCに選ばれたことに首を傾げる人が多い。だが、KCCのシン・ソンウ監督の話は違う。「李がしばらく成均館大学のバスケ部にいた時、練習ゲームを何度かやったが、バスケの感覚がずば抜けているという印象を受けた」というのシン監督の評価。
「今、私のバスケの水準は最低です。監督が可能性だけを見て私を選んだということはよくわかっています。初シーズンに何か見せなければアウトでしょう。今年1年に私の人生を『オール・イン』してみます」。
17年間胸に抱いてきた韓国版の「ボーグスの夢」。その夢が叶えられることを期待しよう。
mars@donga.com






