
あと1本。
あと1本さえ打てば56号となり、日本プロ野球の記録を越えてアジアプロ野球の新紀元を切り開くことになる「国民打者」李承鎏(イ・スンヨプ、三星、27)。
今シーズン終了まで6試合を残しているため、シーズン最多本塁打記録を更新する可能性は高い。53号から54号を打つまでには8試合も沈黙するなどスランプもあった。しかし李承鎏は、55号を4試合ぶりに放ち、周囲の心配を払いのけた。李は「6試合で1本さえ打てれば済むことではないか。負担に思わずに試合に臨みたい」と軽く受け止めている様子だ。
一番先に回ってくるのが社稷(サジク)球場でのロッテ戦(27日)と大邱でのSK戦(28日)だ。ロッテは、李承鎏が99年に43本の本塁打記録を打ち立てたときの、SKは今年の最年少300本塁打記録を樹立したときの対戦チームだ。
8位のロッテは、すでにポストシーズン進出を望めなくなったため、李承鎏に対するけん制が他のチームよりは強くないとみられるが、とはいうものの、ホームで大記録を打ち立てられるのが愉快なはずはない。しかも最近、李承鎏を相手にする投手たちは、李に劣らぬ精神的な負担を訴え、コントロールに苦しんでいる。
25日、第1打席で李承鎏に四球を与えた起亜(キア)の金ジンウは「他の打者よりはるかに神経を使っているのは事実だ」と話し、負担に感じていることをもらした。ファンや周りからは真っ向から勝負しろと言われるし、コーナーぎりぎりを責めていかなくてはならないし…。投手たちも八方塞なのだ。
また、李を塁に出してしまうと、4番の馬海泳(マ・ヘヨン)と5番の梁峻赫(ヤン・ジュンヒョク)が待ち構えており、大量失点につながる可能性が高くなるため、四球でかわすのも簡単に選択できるものではない。
25日の55号本塁打は内角攻めのボールを狙い打ちしたものではあったが、李承鎏の打撃感覚は良い状態ではない。打撃の師匠である朴フンシク打撃コーチは「スイングの切れが鈍くなっている上、球の上を叩いているため、ホームラン打球とは反対方向に回転がかかってしまう」と説明した。
すなわち、ホームランを打つためには、ボールの下を打つことで高く、遠く飛ばさなければならないのだが、今の李承鎏の打撃は、逆にバットがボールの上に当たっているため、逆回転がかかりドライブになってしまうというのだ。最近、目に見えてフライやゴロが増えてきたのもこのためだ。
しかし、専門家たちは李承鎏が本塁打新記録を無事樹立すると疑わない雰囲気だ。河日成(ハ・イルソン)KBS野球解説委員は「金ジンウの球速147kmのボールを打ち返したのをみると、打撃感覚が悪いとは言えない。週末の2試合で56号は出る」と豪語している。河委員はまた「内角なら内角、外角なら外角と、一つのコースに絞って狙うべきだ」とアドバイスした。
2年間、三星(サムスン)で李承鎏と一緒にプレーした起亜のチョ・ゲヒョン投手コーチは「あれだけのすごい重圧感に耐えているのを見るに、やはり大打者だ。技量も技量だが、投手との頭脳戦にも長けているので、必ずホームランを打つに違いない」と楽観した。
ssoo@donga.com






