
職場だけでなく社会からも「退場」の脅威におびえる「5060世代」の切なさと寂しさが、HDテレビの画面を通じて鮮やかに映し出される。KBS2テレビは、熟年離婚の危機に直面した夫婦の話を盛り込んだHDテレビ文学館「誰にも心の奥底に川は流れる」を11日夜10時から90分間放送する。
孔枝泳(コン・ジヨン)の短編、「存在は涙を流す」が原作のこのドラマは、ある夫婦の自動車旅行を追うロードムービー形式で作られた。昨年11月から6カ月間、各季節の情緒を盛り込んだ。落葉のシーンは、ソウル京東(キョンドン)市場で薬として売られているイチョウの葉を買って、黄色のスプレーをふって撮ったという。
放送局の撮影監督であるキョンジェ(チョン・ムソン扮)は、名誉退職の圧力を受けている。数学教師の妻スンエ(キム・ユンギョン扮)との間に生まれた一人息子は、80年代の学生民主化運動で死んだ。息子が死の境をさ迷っていた時、仕事中毒だったキョンジェは撮影だけに没頭し、スンエ1人で息子の死を看取った。ある日突然、妻は旅行に誘う。寒溪嶺(ハンゲリョン)で過ごした夜、妻は「もう楽になりたい」と離婚を迫る。翌日夫婦は東海(トンヘ)へ向かい、キョンジェは最後まで名誉退職の話を切り出すことができなかった。二日目の朝、妻は去ってしまった。キョンジェは妻が去った無人駅を歩き、辞職願を放送会社に送る。
一人残された無人駅に、黄色いイチョウの葉が引き立つ最後のシーンは、HDテレビ画面で見ると、より大きな感動を与える。画面の片隅にひっそりと登場する老夫婦と新婚夫婦の睦まじい姿は、主人公夫婦のかっ藤をより浮き彫りにする。
チャン・ギオPDは、「後ろから来たトラックがクラクションを鳴らし、夫婦の乗った車が道を譲るシーンは、若い世代に追い越される中年の切なさを象徴している」と語った。
李承宰 sjda@donga.com






