Go to contents

「恋は、異なものアジなもの?」 メジャー舞台で好評のマイナー3作

「恋は、異なものアジなもの?」 メジャー舞台で好評のマイナー3作

Posted May. 08, 2003 22:35,   

「あなたの顔は金づちでぐしゃぐしゃにしたいほどかわいい」

男の変な愛情表現を受けて今度は女が話す。

「あなたの目玉を掘り出してしゃぶりたいわ」

なんて猟奇的な愛情告白なんだろう。このような想像もつかない奇怪な対話が、8日封切りした映画「パンチドランク・ラブ(Punch-Drunk Love)」で、2人の男女主人公が互いに相手が運命の相手だと気付くクライマックスに登場する。

奇怪で「非正常」な行為が、愛情を尽くした表現に描写される変わったメロー映画が相次いで披露されている。

今、上映中の「トーク・トゥ・ハー(Talk To Her)」で、植物人間になった女を愛する男子看護婦の愛情表現は、「正常」な目からは明白なレイプに見えるが、映画では女を昏睡状態から覚ます愛の奇跡として描写されている。

23日封切り予定の「Far From Heaven(日本語タイトルは「エデンより彼方に」)」で、完璧に見えた白人中産家庭の夫は、自分が同性愛者である事実を告白し、妻は黒人庭師に愛を感じる。映画の時代背景である50年代には「非正常」だと見なされた素材が映画の中で「正常」に感じられる理由は、自分も押さえられない、運命の愛であるからだ。

この3つの映画は、いずれも大衆的でない素材にもかかわらず「マイナー」の限界を越えてメジャー舞台の賛辞を浴びた。「パンチドランク・ラブ」は去年、カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞し、時事週刊誌「タイムズ」は「トーク・トゥ・ハー」を2002年最高の映画に選んだ。「Far From Heaven」はベニス国際映画祭女優主演賞受賞作だ。

トッド・ヘインズ(Far From Heaven)監督、ペドロ・アルモドヴァル(トーク・トゥ・ハー)監督がカミングアウトした同性愛者で、主にマイナー派感性の映画を作ってきたというのも特徴だ。

いずれも、感情を意図的に過剰演出した上、現実的でなく精巧に造られた運命のラブストリーという共通点がある。感情を高調させるために「トーク・トゥ・ハー」は、涙ぐんだ表情が何度もクローズアップされ、ピナ・バウシュのダンスが使われた。「パンチドランク・ラブ」のキスシーンでは周りがすべて陰になって消えていく。「Far From Heaven」では装飾的色彩とカメラの誇張された動きが目立つ。感情がどこから芽生えたかは重要なものではない。「パンチドランク・ラブ」の女、「トーク・トゥ・ハー」の男は相手を条件無しで、運命的に愛し、奇跡的な治癒の能力を発揮する。

米国の演劇学者ダニエル・メンデルソンは、今年の初めにニューヨークタイムズのマガジンに寄稿した文で、このように感情の過剰表現を特徴とするメロー映画が復活する現象について、「テレビのアンカーらが『英雄、悪党、敵の群れ』など、数年前までは笑いを誘うような言葉を真剣な表情で述べる時代的状況と時期を共にすている」と分析した。



金熹暻 susanna@donga.com