盧武鉉(ノ・ムヒョン)政府が発足して1カ月の間に多くの変化があった。しかしこれを眺める国民の見解は一致しない。一方では、変化が非常に早く煩雑であるという不満が出ており、もう一方では、むしろ遅くて生ぬるいとして、せきたてている。すべてをまとめて改革を推進し、国政のバランスを維持することがいかに困難かを、盧大統領も実感しているだろう。
これまで、経験不足による試行錯誤も少なくなかった。相互の意見の食い違いを浮き彫りにして韓米間の緊張を高めたのは外交的思慮が浅かったためであり、一部の中途半端な政策発表で混乱を招いたのは、政府内の調整が不十分であったからだという指摘を受けている。また破格の組閣に続く検察人事や検察の集団反発、1級公務員の集団辞表提出や粗悪な後始末など、衝撃人事による公職社会の動揺も絶えなかった。
紆余曲折と、大統領としての痛みを経験したものの、新政府が当初の憂慮とは違って比較的に軟着陸したという評価もある。野党との積極的な対話、与党の反対を退けた特検法公布といった盧大統領の開かれた政局運営が収めた成果という分析である。
最も注目されるのは、経済と外交問題に対する新政府の実用主義的な認識の変化だ。検察権の行使が経済に及ぼす影響を考慮したり、イラク戦派兵を決定して国益を強調したことなどは、新政府が政権獲得の興奮と硬直性から脱して、平静と柔軟性の軌道に進入した兆しだといえる。むろん状況はまだ流動的で国内外の環境も急変しているだけに、このような変身をもう少し見守る必要はある。
新政府は、現実の裏づけのない意欲過剰で不安心理を刺激してはいけない。不安に慣れることと安定は違う。「戦争」だ「戦意」だと言って、立場が異なる人々の心を傷つける感情過剰も警戒しなければならない。それは統合を阻害する。もはや第一歩を踏み出した新政府の進む道は遠く、すべきことは多い。今からという気持ちで、態勢をもう一度整えることを望む。






