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[オピニオン]レモンジレンマ

Posted February. 20, 2003 23:07,   

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内実もしっかりした中古車と、米国人が「レモン」と呼ぶ外見だけしっかりした欠陥車が、それぞれ2万ドルと1万ドルでマーケットに出されている。消費者は、平均値の1万5000ドルで購入する考えだが、残念にも車のことはよく知らない。二つの車がどう違うかなど、十分な情報も与えられていない。はたして消費者はどの車を買うだろうか。01年のノーベル経済学賞共同受賞者であるジョセフ・E・スティグリッツによると、消費者は外見だけしっかりした「レモン」を買うという。悪貨が良貨を駆逐するように、良い中古車を安値で売るわけがないと思っているからだ。不完全で不均衡な情報が消費者に害を与え、結局は市場をだめにするという、いわゆる「レモンジレンマ」だ。

◆米コロンビア大学のスティグリッツ教授は、自身にノーベル賞をもたらした「情報の非対称による市場の失敗」という理論より、反グローバル化やグローバル化改革論の主唱者として有名だ。スティグリッツ教授は、国際通貨基金(IMF)と世界銀行に象徴される米主導のグローバル化が、低開発国の貧困拡大と通貨危機の主犯と批判してきた。世界銀行副総裁の頃、IMF関係者と口論の後に著書『グローバル化とその不満』を出したが、反対派から『IMFと私の不満』にしたらどうか、と皮肉られた。「グローバル化は、人々の生活水準を高めた。しかし、生活自体はさらに不安定になったため、多くの人々の暮らしはむしろ悪化した」というスティグリッツ教授の主張に同調するグループがある一方、「学者としてはビューティフル・マインドを持っているが、政策立案者としては適していない」という批判も受けている。

◆盧武鉉(ノ・ムヒョン)次期大統領の大統領就任式にスティグリッツ教授が出席するという。新政権の初代海外経済諮問委員長としてうわさされている同氏は、就任式の後、新大統領に会い、新政権の国内外の経済政策について助言するという。経済成長より分配を重要視する盧次期大統領の経済観も、スティグリッツ教授の理論に影響を受けたというから、直接会えばまたどれだけ影響を受けるかは十分に察することができる。

◆問題は、盧次期大統領も「レモンジレンマ」に陥る可能性があるということだ。スティグリッツ教授の主張通り、不完全で不均衡な情報は失敗をもたらすだろう。ただでさえ、米国を訪れた経験がないという理由から、国際情勢に暗いだろうという懸念の声もあった盧次期大統領だ。英フィナンシャル・タイムズは「金大中(キム・デジュン)大統領は、グローバル化を理解し、より良い資本主義を希望したが、盧次期大統領もそうであるかは疑問だ」と指摘している。盧次期大統領がスティグリッツ教授に会うのもいいが、その反対の経済政策にも耳を傾ける必要がある。

金順鄹 論説委員 yuri@donga.com