米国は、人口1万人当たり弁護士の数が300人を超える弁護士天国だ。歴代大統領や上下両院議員のうち、単一職業としては、弁護士出身が最も多い。このように弁護士が多い理由は、多様な移民者が集まっている国であるため、家庭や社会で生じる紛争を簡単に裁判所に持ち込んでしまう文化とも無縁ではない。法務士や労務士など類似した職種が存在せず、弁護士がこのような仕事まで引き受けている。その分、需要は多くなる。今年に入って、韓国弁護士の数が5000人を越えたと言われているが、韓国の人口1万人当たり弁護士の数は一人にも及ばない。
◆米国には弁護士が多いだけに、弁護士を皮肉るジョークも多いそうだ。天国に行ったら弁護士が一人もいないというのだ。弁護士たちが人間の世界で数多くの罪を犯したからだというと、弁護士たちが怒る。天国には良い人ばかりがいるため、民事、刑事事件の受任がなく、全ての弁護士が地獄に引越ししたというのである。米国の高速道路で事故に遭うと、救急車より弁護士が先に現場に到着するという笑えない話もある。弁護士の不正事件は個人の問題で終わるのではなく、事件の依頼人に損害を与え、ひいては司法の正義までを傷つけかねない。他のどの職種よりも高い倫理意識が求められるゆえんだ
◆大韓弁護士協会が、司法研修院を卒業して弁護士登録を控えている人々に、今年から初めて倫理テストを実施したが、3分の1が集団でカンニングをしたとして話題になっている。よりによって倫理テストなのだ。しかし、その内容を見ると、テストというよりは、家で作成するレポートに近い形式だったそうだ。一ヵ所に集まって試験を受けたのではなく、試験紙を家に持っていって、法律書籍などを参考にしながら小論文のように作成する方式だった。予備弁護士たちは、家で作成するオープン・ブック試験や、学生時代のレポートのように気軽く受け止め、友人の模範答案をコピーして提出したようだ。
◆情報化が進んでいる国では、学校で宿題を出しても、インターネットなどで資料を見つけ出し編集して提出するため、「サイトコピー」を防ぐことが教師の悩みの種となっている。サイトコピーを摘発するプログラムまで登場した。弁護士協会が登録を控えている弁護士たちに倫理テストを受けさせながら、倫理意識を高揚させようとした気持ちは十分理解できる。しかし、テストという方法が間違ったと思う。新しい出発点を迎えている弁護士たちに、法曹人として備えるべき倫理を教育させるのが目的だったとすれば、試験よりは研修プログラムを工夫した方がより効果的だったと思う。だからといって、マウスとキーボードを操って人の答案をコピーして提出した予備弁護士たちが悪くないという意味では、もちろんない。
黄鎬澤(ファン・ホテク)論説委員 hthwang@donga.com






