ブッシュ米政権が大量破壊兵器への抑制策を繰り広げながら「二重の尺度」を適用しているとの批判が、米国と欧州などで強く提起されている。
最近相次いで発生したインド洋での北朝鮮船だ捕、北朝鮮の核施設再稼働宣言などを契機に、再浮上しつつある「二重の尺度」の見方は、米国内の穏健派と強硬派の両方から出ている。
ワシントンポスト紙は12日「『先制と阻止』を骨子とするブッシュ政権の大量殺傷兵器拡散への阻止戦略が、ミサイルを積載した北朝鮮貨物船をだ捕した事件を契機に、現実に合わないことが分かりつつある」との認識を示した。
カーネギ-国際平和財団の軍縮専門家、シリンシオネー氏は同紙との会見で「米国の対テロ戦に協力したイエメンがスカッドミサイルを保有するのは問題視しないのに、イラクは駄目だといった具合の、二重の尺度ならば、国際社会の支持を得られない」と話した。同氏は「問題は、ブッシュ政権が政策の焦点を『大量破壊兵器の撤去』から『特定政権の撤去』に移動させたために発生している」と指摘した。
また、元米国務省の軍縮専門家、ロバート・J・アインホーン氏は「かりに今度、イランに向かう北朝鮮のミサイル積載船を抑留する場合、イエメンとの差を、米国はどのように説明できるだろうか」と反問した。
フランスの日刊紙リベラシオンは、北朝鮮船のだ捕と抑留解除について「米国がことを下手に処理してしまった」と論評した。
こうした批判の声について、米政府の高官らは「多様で、それぞれ異なる威かくを取り扱ううえで、公式はない」とし「今回は船に載せたミサイルが国家と国家との間の貿易品だったのが立証付けられただけに、それ以上続けて抑留する権利はなかったが、テロ組織や国連の正式制裁を受けている国家に向かっていたとすれば、対応が異なったはずだ」と反論した。
しかし、これについて専門家らは「公海上で船舶を抑留するには、法的な根拠を示さなければならない。少なくとも船の法的所有者と接触し、船舶の捜索についての許可を受けるべきだった」と指摘している。
AFP通信が14日報じたところによると、とくに、米国内の強硬派からもこうした「二重の尺度」との見方が提起されているという。同通信によると、強硬色を持つ米政権の一部高官らは「ブッシュ大統領が『北朝鮮とイラクの脅威が異なる様相を持っているために、解決方式も異ならざるを得ない』と強調したのは、同大統領が大量破壊兵器の問題を、フセイン大統領を権力の座から追放するための一つの口実としてしか考えていないとの証拠だ」と強調している。
しかし、もちろん超強硬派らの間ですら、北朝鮮との戦争は「ほぼ考えられない(almost unthinkable)もの」との認識が存在していると、同通信は付け加えた。
すなわち、イラクと戦争を繰り広げる場合は、米国が短期間に勝利できるものと考えられるが、100万人にのぼる常備軍を持っていて、短時間内にソウルを焦土化できる能力を備えている北朝鮮は、全く事情が異なるからだ。
こうした「二重の尺度」についての批判は、ブッシュ政権の大量破壊兵器への阻止政策が持っているジレンマを反映している。
李基洪 sechepa@donga.com






