「一つを教えれば、自ら二つ、三つを悟る中国人労働者を見ると、恐いと思う時もあります。ただ『安い賃金』のために中国に来ましたが、中国人はむしろ韓国を『飛躍のための踏み台』として活用しているような気分がします」
中国福建省のSKC福州ビデオテープ工場の生産ライン。ここに派遣された唯一の韓国人である張錫俊(チャン・ソクジュン)次長は、中国人労働者について「非常に積極的で前向きだ」と語る。
▲繊細な手作業で不良率を少なくする〓福建工場の労働者は計800人で、大半が寮生活をしている。うち女性は600人。小ぢんまりした四階建て工場の組み立てラインには、20代初めの女性労働者が慣れた手つきで、スプリングとフィルムなどテープの付属品を組み立てる。自動化ラインがあるが、発注業者は中国女性の繊細な手による手作業の製品のほうがいいとしている。
彼女らの能力は低い「製品不良率」で立証される。SKC福建工場の不良率は20ppm(100万個のうち20個以内)で、SKCが天安工場で生産していた時と比べて10分の1に過ぎない。福建工場が日本最高のビデオテープ製造会社であるフジフィルムをはじめ、マクスウェル、TDK、ポラロイドなどにOEM(相手先ブランド製品製造)方式で製品を供給しているのもこうした高品質のためだ。
▲独自の品質改善活動〓SKC福建工場は、ビデオテープ全体生産量(年産6600万個)の70%以上を日本に輸出している。米国、欧州、東南アジアなどに約25%、中国の内需は5%前後に過ぎない。中国で輸出企業として確かな位置を占めるようになった。
張次長は、「福建工場の品質は、中国人労働者の自発的なグループ活動によって高められている」と述べた。1997年、SKグループが固有の経営ノウハウである「スーペックス(SUPEX)の原理」を中国の労働者に教えると、今では「自分たちなりの経営ノウハウ」として応用、発展させていると張次長は説明する。
福建工場の労働者は、計50余りのグループに分かれて品質改善を行っている。この活動にはSKでは教えていない、彼らだけのノウハウが付け加えられている。
まず、個人(グループ員)に対する自己評価方式が非常に積極的だ。班長の劉喜海は、「積極性、工程改善の貢献度、アイデア共有などいくつかの面で自己評価した後、この結果を他のグループ員に、すなわち「第三者の評価」に委ねる」と述べた。毎月選定する優秀なグループの班長が班長会議に参加して品質改善のノウハウを伝える方法も、SKグループのスーペックス活動にはないものだ。
▲技術開発への意欲に驚かされる〓技術開発に対する「意欲」も強い。同会社の劉希遝社長は、「韓国から輸入したすべての生産設備の整備を、現地の技術陣が受け持っている。部品導入価格が安ければ、韓国本社に設計図面を要請して直接製作する」と自慢した。
「中国人労働者が、韓国から輸入したビデオテープ包装材の品質問題を指摘して『技術移転』を逆提案された時、中国の未来を垣間見ることができました」張次長が明かした中国人労働者への礼賛が現実的な恐れとなって近づきつつある。
李康雲 kwoon90@donga.com






