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[オピニオン]「米国式の資本主義」

Posted December. 01, 2002 23:22,   

16世紀初め、ドイツのルーテルとともに宗教改革を導いていたフランスのカルバンは、初期の商業資本主義が形成しつつあったスイスのジュネーブで主に活動していた。同氏は、資本の原始的蓄積の過程でギャップが深まりつつあった両極化の現象をせんさくし、神学にもとづいて資本に対する社会的な規制を説いた。後日、マックス・ウェーバーが『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』で同氏の経済思想を綿密に分析したのもそのためだった。

カルバンは非常に冷徹なる現実主義社だった。彼は、資本の属性である利潤の動機と高い生産性をうまく生かせることができれば、むしろ民衆の生活を大きく向上させるかも知れないと信じていた。元々キリスト教では、金を貸して利子を受け取る貸付業をタブーとしていたが、カルバンは正当な倫理性が後押しされれば、これを認められると考えていた。

これは、当時としては破格の発想だった。カルバンは、生産財を貸して生産を誘導するのが望ましいのなら、生産財を得られるよう金を貸すのも正当化されるべきだとの見方を強調した。このように、資本の自己増殖を認めたカルバンの経済思想は、それ以降英国と米国のキリスト教に大きな影響を及ぼした。

しかし、ピューリタン(清教徒)はカルバンの考えを誤認した。カルバンは資本の社会的な成果を何よりも重要視していたが、ピューリタンは個人の成功は、神の恵みを受けた結果とみなし、富を蓄積することにだけこだわった。

最近のある研究結果によると、米国は世界でロシアの次に貧富格差の大きい国だという。昨年、大手企業の経営最高責任者(CEO)の平均年収は、製造業で働く労働者の平均所得の400倍を突破しており、所得水準の最上位グループ1%が民間の富の38%を所有しているという。良質の働き口が破壊されつつあるのが最も大きな原因と思われるが、租税のバランスが崩れたのも、それに劣らず重要な要因だとの指摘である。

米国の表向きの課税施行細則は非常に厳しい。顧客への接待で、2杯以上のマーティニーを飲むと経費として処理できなくなっており、企業の役員らが使った航空料金支出についても経費の上限が定められてある。それにもかかわらず、驚くべきことに大物たちに保障されたストックオプションは税制上、全額を経費として処理することができるようになっていて、一部の特権階層に課されていた90%に上る限界所得税率は、いつの間にか30%台に下落している。

誰でも熱心に働き健全に富を積み、社会的な地位を高めていけるとしていたアメリカンドリームは米国社会でますます探し難くなりつつある。こうした「米国式」の資本主義は、こんにち米国が誇る最高の輸出品だが、韓国は国際通貨基金(IMF)による管理体制下に置かれていた98年以降、これを改革のバイブルとして受け入れている。

李チャングン客員論説委員・仁川(インチョン)大学教授ckl1022@incheon.ac.kr