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国連査察委、イラクへの兵器査察を延期

Posted October. 04, 2002 22:59,   

米国がイラクへの軍事攻撃をかたくなに固持するなか、国連は、当初計画されていたイラクへの大量破壊兵器査察再開の日程を延期することにした。これは、米国が提示した対イラク強硬決議案の方向に国連が傾いていることをうかがわせるもので、これまで米国の武力使用計画に反対してきた国の反応が注目される。

▲国連が査察延期を発表〓国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)のハンス・ブリクス委員長は3日、国連本部で安保理理事国15カ国に「安保理のイラク決議案協議が終わるまで、査察再開を見送る」と述べた。さらに「査察に入った後に内容が変更された決議案が視察団に伝えられることになると、混乱をきたす恐れがある」と述べ、査察再開が安保理の決議案通過いかんにかかっていることを明らかにした。

イラクの核関連施設への査察を担当する国際原子力機関(IAEA)のモハメド・エルバラダイ事務局長も「安保理の統一した支持が得られなければ、イラク入りしても效果的な業務遂行は不可能だ」と述べた。

国連は1日、2週間以内に査察のために査察団先遣隊がバグダッド入りすることをイラク側と合意済みであったが、米国が査察団の武力権限使用などを骨子とする強力な内容の国連決議案草案を作成したことで、実施が不透明となっていた。

もし米国が作成した決議案が安保理で決議されれば、イラクが大量破壊兵器の開発実態を記した報告書を提出するまで、30日以上査察再開が延期される。

ブリクス委員長やエルバラダイ事務局長は4日、ワシントンでパウエル国務長官やホワイトハウスのライス安保補佐官らと会い、米国側決議案の上程と査察再開について話し合う予定だ。

▲強まる米英の圧力〓国連とイラクの査察日程の合意が色あせたことで、米国は安保理理事国に決議案の採択を急ぐよう外交圧力を加える時間を稼ぐことができた。

ブッシュ米大統領は3日「もはや選択は、イラクのフセイン大統領と彼に責任を問う国連にある。求める選択がなされない場合、米国は直接行動に出るほかない」と述べ、イラクへの軍事攻撃の意志を再度明らかにした。

さらに「テロとの戦いは、世界最悪の兵器で、米国と友好国を害する世界最悪の指導者へと広がらなければならない」と述べ、フセイン大統領を「この者(This guy)」と呼び捨てしながら、許してはならないと力説した。

ブレア英首相も3日「強力で新たな査察決議案が必要な時だ。査察団がイラクの99%を査察しても、残りの1%に大量破壊兵器が備蓄され開発されたなら意味がない」と述べた。これは、32平方kmに及ぶイラク大統領関連施設8カ所を査察対象に含めなければならないという米国側の主張を強調したものだ。

▲続く空襲〓一方、米英両国の戦闘機は3日、イラク南部地域を空襲し、イラク人5人が死亡、11人が負傷した。最近、米英がイラクへの空襲を強化しているのは、査察再開を延期させるための圧力と解釈されている。ブリクス委員長は「飛行禁止区域で空襲が続けられる場合、査察団員の安全が保障できない」として、これについての合意がなされるならば、査察再開に乗り出すと明らかにした。しかし米国は、査察作業が進んでも空襲はやめないという立場を固守している。



鄭美京 mickey@donga.com