政府が112兆ウォン規模の来年度予算案を確定したものの、例年とは違って事実上、臨時予算に止まる可能性が高い。新しい政権がスタートする上、イラク戦争など、不透明な要因が多いからだ。その分、財政の役割が重要性を増しつつ、やるべきことも山積している。
政府は、通貨危機以来6年ぶりに、均衡予算を回復するという点を強調している。5年間も続けられた赤字国債の発行を約束通り中止するものの、来年の状況が均衡財政だけを自慢するほど簡単でないことに問題がある。
政府は8〜9%の経済成長率を見込んでいるが、これは世界経済の流れから目を背けた安易な展望と言わざるを得ない。米国のイラク攻撃がささやかれる中、国際原油価格が急騰し、世界的な株安が進んでいるため、来年の景気は極めて不透明だ。
デフレが著しくなれば、これまで政府の人為的な浮揚策と行き過ぎた個人向け貸し出しに頼ってきた韓国経済は、深刻な打撃によろめくだろう。来年の成長率が政府の予想値を下回れば、均衡財政どころか、補正予算の組み直しに迫られかねない。
今度の予算案では、景気低迷への対応策がまったく盛り込まれていない。金融の機能が弱まっているところで、財政さえ景気コントロール機能を失えば、経済状況は取り返しのつかない方向に流れてしまう。政府は財政が積極的な役割を担う時に来ていることを認識すべきだ。
1人当たりの税負担が初めて300万ウォンを上回ったのに、政府は租税負担が高くなっていないと主張している。しかし成長率が減少すれば、租税負担率は増加する。こうした状況で、公務員の給料を民間企業の予想賃金上昇率の5.0%より高い5.5%も引き上げるというのは、説得力に欠ける。公務員の給料がすでに民間企業の水準とほぼ同じレベルに達しているだけに、硬直性経費を減らす方向で調整するのが望ましい。
来年度予算案を審議する国会も本来の役割を全うすべきだ。政府が大まかに組んだ予算案を大統領選挙のため、手抜きで成立させてしまうと、国家的な不幸を招きかねない。予算が国家競争力を高め、国民生活にプラスになるよう、国会は監視の目を緩めてはいけない。






