清貧がとりわけ強調された韓国で「お金持ちになりますように」という徳談(正月に交わす幸運や成功を祈る言葉)が使われるようになったのは、最近のことである。一方中国では、昔から旧正月の時に交わす代表的なあいさつの言葉が「恭禧發財(クン・ヘイ・ファッ・チョイ、お金に恵まれた、幸せな年をお迎えください)」であるほど、中国人の理財に対する関心は非常に高い。外見よりも中身を重視する彼らの慣習を考えると、これまで数多くの中国人富豪が排出されたのは当然のことといえよう。全世界の華僑が保有する流動資産が、90年代半ばですでに2兆ドルに達すると言われるほど、華僑資本が世界経済に与える影響力はばく大である。
▲最近、中国は高度経済成長を続け、新興富豪が量産されている。「タイム」誌の最新号は、中国の新興富豪をカバーストーリーで取り上げ、1000万ドルをかけてホワイトハウスと全く同じ家を建てた富豪の話を紹介した。1999年には600万ドルで中国内の富豪50位以内に入れたが、昨年は50位の富豪の財産が1億1000万ドルであったというほど、中国の富豪の財産規模は急速に拡大しているという。社会主義を標ぼうする国でも、人間の所有への欲望と成就への意欲を刺激して経済的動機を与える資本主義的思考が、成長のけん引車の役割を果たすのは驚くべきことである。
▲朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の新義州(シンウィジュ)特別行政区の初代行政長官に、オランダ国籍の華僑を任命し契約を結んだとして話題を呼んでいる。財産が75億元(約1兆2000億ウォン)で、中国2番目の富豪である楊斌(ヤンビン)欧亜グループ会長が主人公だ。国家の運命をかけた冒険ともいえる経済特区の総責任者の座に外国人を迎え入れた北朝鮮指導部の選択も驚くべきであるが、その座を気軽に受け入れた楊会長の度胸もまた常人のレベルを超えている。楊会長は、おととい平壌(ピョンヤン)で開かれた記者会見で、新義州を香港のようにするための青写真の一部をほのめかしたが、その内容は幻想的だった。
▲楊斌会長が中国商人の血を引く新興富豪なら、新義州はチェ・インホ氏の小説「商道」にも現われる義州商人の脈を受け継ぐ伝統的な商業都市である。商才では誰にも負けない両者が力を合わせて作り上げる「新義州経済特区」の未来はどのようなものになるのだろうか。新義州が楊会長の言うように、金融、製造業、商業、観光で北東アジアの中心になるのか、あるいは失敗した羅津(ナジン)・先鋒(ソンボン)で終わってしまうのか。それは全面的に両者の肩にかかっている。
ソン・ムンホン論説委員(songmh@donga.com)






