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[オピニオン]男の正装

Posted September. 19, 2002 22:48,   

写真の中の男たちは下着姿。ところが、誰もがネクタイを締めている。米国の女性誌「プレイガール」最新号に掲載された、米国のエネルギー会社エンロンの男子社員のヌード写真である。裸の上半身の上に締めているネクタイが、囚人の刑具のようだ。これとは対照的に、米国の証券会社ベアスタンスは17日、今後正装をするよう告知のEメールを社員に送っている。この2年間許していた服装の自由を取り上げたもの。不道徳な経営で倒産した会社の男たちは武装解除された反面、消費者の信頼を固めようとする会社では、再び完全武装を図ろうとしているようだ。

◆メディアがメッセージだとすれば、人間にとっては服装がメッセージを表すメディアといえる。服装ほど、その人の内外と社会の変化、時代の流れまでを表す記号も珍しい。現代の男性において、フォーマルな背広姿は、職場のユニフォームであり戦闘服である。入社後の出社初日、首をまっすぐ伸ばしてネクタイをびしっと締めた時のことを覚えているだろうか。首は、魂と体のコミュニケーションを象徴する身体の一部であり、ネクタイは、その首を何かに縛りつける装置である。背広を着てネクタイを締めるということは、自分自身を社会の中に正式に参入させるという出師の現れであり、能率と実力で評価されるために、自己節制に甘んずるという無言の宣言であった。

◆ドットコムブームとともに、自由と創意力が注目された2000年を前後して、会社員たちは楽なTシャツと、カーキ色のパンツに衣替えした。ダウジョーンズ指数が10,000を上下した時には、企業の役員から銀行家までもがゴルフ着姿で出社していた。ところが、残念ながらカジュアル時代は長続きしなかった。厳しい世の中は、堅苦しい正装を求めるものだ。隙を見せてしまったあまりに、上司と顧客の信頼を失うどころか、職場まで取られてはたまらないからだ。ドットコムのバブルがはじけて米国経済が冷え込むにつれ、さらにはニューヨークの同時多発テロ以来、保守と強硬ムードが社会を支配し、ウォールストリートは再びホワイトカラーの軍服、つまりフォーマルな背広姿のサラリーマンたちによって占領された。

◆わが国では、ドレスコードの復活のニュースはまだ聞こえてこない。ドットコムブームとともに、各社で勧めていたカジュアル服装がまだ有効なようだ。わが国の経済と暮し向きも、今のところは安泰だという意味だろうか。自由服のために、意識と行動が緩みすぎるとの指摘もなくはない。しかしながら、格式の破壊と創意的な思考が尊重される雰囲気に加えて、最近の週休2日制の拡大まで重なり、当面カジュアル姿が優勢を占めるだろうと三星ファッション研究所は展望している。男性のフォーマルな背広姿が、米国のように恐ろしい意味を持つとすれば、わが国の男性諸君は、どうか自由な服装で仕事ができることを祈りたい。

金順徳(キム・スンドク)論説委員、yuri@donga.com