政治資金の透明性確保は、政治改革のかなめだ。そのような点で、きのう中央選挙管理委員会が発表した完全選挙公営制は肯定的に評価できる。ハンナラ党、民主党、自民連の主要政党が、いずれも選挙公営制拡大に歓迎の意を表明しているだけに、秋の定期国会で立法化して、12月の大統領選挙から新たな選挙制度が施行されることを期待する。
しかし、過去の例にみられるように、総論には賛成しても、各論に入ると政党間の利害が鋭く衝突して、結局あいまいになるのが政治関連改革立法であった。理想を追求するあまり現実に合わない青写真をつくったのではないか、公論化の過程で詳細に点検し、再びうやむやになることがあってはならない。
完全選挙公営制の核心は、選挙でカネが流れ込む要因を大幅に減らし、違法資金や賄ろの流入を根源で断ち切ることだ。その代わり、公式の選挙費用に対する国庫補助は増えることになる。国民の直接的な政治費用を多少増やして、選挙費用の総量を大きく減らすことで、結果的に国民負担を減らすことができるということだ。
このような論理は、公営制が完璧な制度的装置として機能するという前提のもとで可能である。公営制を実施しても、うしろめたい違法政治資金が根絶されなければ、国民の税負担だけが増えることになるだろう。
野党ハンナラ党は、100万ウォン以上の政治資金寄付者を公開するという一部の条項は、野党弾圧の可能性があるとして、反対の立場をとっている。そのような立場の善悪は別として、身元が公開された場合に、高額の政治資金を野党に寄付する者がいるだろいうかという現実的な考慮を排除することはできない。一部の放送の公正さに対し野党が抱く不信感も解決しなければならない問題だ。結局、完全選挙公営制の成否は、「公正なゲーム」に対する権力の実践意志にかかっていると言えるだろう。






