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[オピニオン] DJ反撃の始まりか

Posted July. 17, 2002 23:12,   

大統領府の人々は、時あるごとに、金大中(キム・デジュン)大統領は政治的中立だと言ってきた。大統領は経済活性化など、国政にだけ専念していると言い、その理由として民主党離党を挙げた。しかし、信じることができない。金大統領は15日の記者懇談会で、意味深長なことを言った。「アジア太平洋平和財団(亜太財団)の全面改編と新しい出発」を口にした。これが大統領府の言う「政治中立」が信じられない第一の理由だ。

大統領の次男の弘業(ホンオプ)氏が大企業などから47億ウォンを受け取って逮捕されたことは、一体どういう事件か。息子の単なる分別のない利権介入か。いや違う。弘業氏は亜太財団副理事長であり、事実上亜太財団を代表していた。亜太財団とは何か。金大統領が退任後、北東アジアの外交安保問題を研究するという目的で作ったというが、実のところは政治的影響力を掌握するための拠点ではないか。批判を浴びた全斗煥(チョン・ドゥファン)前大統領の日海財団設立の発想と大差ない。それで募金が必要となり、次男が関与したのであった。形式上、弘業氏がカネを受け取ったというが、善悪はともかく、大金を差し出す側では、大統領の知らない「献金」なら魅力はないだろう。亜太財団にカネを渡した企業が一つや二つではないという話はもはや秘密の話ではない。このような点で、弘業氏の不正はまさに亜太財団の不正であり、政治的事件である。

◆民心に対抗する「政治執念」

金大統領は、そのような亜太財団の「新しい出発」を公言した。亜太財団の社会還元を求める世論を真っ向から拒否する特有の粘り強さを見せたのだ。これでも金大統領の政治的意志を否定できるのだろうか。また息子の逮捕で検察との間に生じたかっ藤や、張裳(チャン・サン)首相代理任命や内閣改造からも「何と言われようとわが道を行く」という政治的欲求が現われた。政権勢力の前面に布陣した面々を見てみると、このように政治色が強い陣容はかつてなかった。「政治中立」と関連してより注目することは、金大統領自らは、そんなことを言ったことがないという点だ。その無言の含意を見落してはいけない。

今金大統領が直面している状況はどのような状況か。政治人生の頂点に上ったものの、身辺の安全が不透明な最大の政治的危機に遭っているのだ。このような状況で、押されっぱなしの大統領ではないということは、彼のこれまでの歴程が物語っている。土壇場での逆転を重ね、数えきれない政治の険しい場面を生き残ってきた。今大統領はレイムダックで何もできないだろうと言う人がいる。力が抜けて疲れた姿が歴然としているというのだ。しかしそうとばかりは言えない。基本的に大統領の屈強な力を知らずに言っている言葉だ。ばく大な資金動員力と組織力、そして想像を絶する情報力を過小評価してはいけない。

◆新党の動きの背景は何か

「政治中立」を信じられない理由は、与党内の乱気流が、大統領の政治的意志と決して無関係ではないという点だ。現在、与党民主党の盧武鉉(ノ・ムヒョン)候補と刷新派を中心とした勢力と、これに対抗する非主流勢力間のかっ藤は、すでに共存の限界を超えた。かっ藤の核心は一言で言って、盧候補側が提起した「脱DJ(金大中)」の内容と方法論だ。すでに政権勢力の一角では、新党論が出ている。正確に言えば 盧武鉉勢力を除いた残りの勢力が、離党して新党を結成するということだ。さらには「盧風」に対して現政権勢力は期待しなくなったということだ。新党結成の日程は、12月の大統領選挙を考慮すると、9月を越さないだろう。ばく大な資金と組織力が必要な大統領選挙を行なう政党結成は、誰にでもできることではない。力のある勢力の助けなしには不可能なことだ。結局、金大統領が関与しない新党結成が可能かという話しになる。

今金大統領は離党状態だ。権力周辺は政治的中立を呼び続け、大統領は離党というベールの後ろにいればいい。あえて前面に出るまでもない。離党は実に絶妙な政治構図のための布石になった。しかし、その絶妙さは、民心に逆らい歴史の針を後退させることに過ぎない。親戚の不正と権力腐敗で崖っぷちに立たされた金大統領と政権勢力の最近の行動は尋常ではない。形勢挽回の反撃か。しかし相手は民心ということを認識すべきである。



kihang@donga.com