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「オピニオン」「トゥマイ猿人」

Posted July. 12, 2002 23:34,   

「トゥマイ猿人」

人類の起源を語るたびに欠かさず登場しているのが、創造論と進化論である。創造論は、聖書の記録にもとづき、神が人間を創造したという理論で、進化論は、最初下等動物から始まり、徐々に人間の形状になっていったという理論である。19世紀前半までは、創造論が大勢を成していた。創造論の代表的な理論家である、英国の神学者ウィリアム・ペイリーは、1802年に発表した論文の中で、動物の目を時計にたとえて、時計の設計者がいるように、目の設計者が必ず存在すると主張した。氏が主張した設計者は、神様だった。

ところが1859年、チャールズ・ダーウィンが進化論を発表したことで、創造論は揺らぎ始める。以後、進化論を裏付ける理論が続々と出され、創造論者は息を潜めなければならなかった。人類の起源を、化石やDNAの分析を通じて追跡する科学的な方法に、宗教的世界観が力を失わざるを得なかったのである。しかし、創造論者は20世紀後半に入り、再び反撃を開始した。法学教授フィリップ・ジョーンズの「裁かれるダーウィン」(1991)、生化学者マイケル・べヒの「ダーウィンのブラックボックス」(1996)などが、これを体系化した本である。かつてのように、盲目的に聖書に頼る代わりに、科学が明かした事実を援用する、新しい創造論である。

今回は、進化論者を興奮させる新しい化石が発見された。これまでに発見された猿人化石のうち、最古とされる700万年前の化石が、アフリカ中部のチャド共和国で発見されたと、英国の科学誌ネイチャーが報じたのである。フランスの古生物学教授が率いる、10カ国からなる多国籍研究チームが、ほぼ原型をとどめている頭がい骨と2つの下あご、3つの歯の化石を発掘したという。研究チームは、これを現地語で「生の希望」という意味の「トゥマイ(Toumai)猿人」と命名した。これまでに発見された猿人の化石より、少なくとも100万年以上さかのぼるというから、人類起源の歴史を新たに書き直すことになりそうだ。

韓国創造科学会のイム・ボンサム博士は、先月「忘れられた生命の木を求めて」という本を通じて、進化論を「随所で発見した遺骨を、一カ所で発掘したもののように偽って発表した事例が多く、任意に年代を選定する一方、動物のものと確認された骨を、人類の中間先祖であるホミノイドの骨だという主張を続けるなど、進化論的な人類起源説は、虚構に満ちている」と非難した。

今回の発掘をめぐって、似たような反応が見られるかもしれない。創造論と進化論の和解は、永遠に不可能なことなのだろうか。アインシュタインは「宗教なき科学と、科学なき宗教、何れも問題がある」と言っていたが‥。



youngeon@donga.com