最高検察庁中央捜査本部が、金大中(キム・デジュン)大統領の次男である弘業(ホンオプ)氏を逮捕起訴し、明るみになった容疑事実を見る心情は、一言で言って、惨たんそのものである。弘業氏は、98年の現政権発足直後から約2年間、現代(ヒョンデ)や三星(サムスン)グループなどから22億ウォンを受け取っていたことが明るみになった。受け取ったカネの名目は、政治資金である。政治家でもない弘業氏が、政治資金を受け取ったことは、彼が副理事長を務めるアジア太平洋平和財団(亜太財団)が、政治資金募金所であったことを証明する。
弘業氏が、大企業からカネを受け取り始めた98年は、「国際通貨基金(IMF)寒波」で企業が次々に倒産し、街には失業者があふれた時だった。多くの国民は、はめていた指輪をはずし、タンスの中の金の指輪を取り出して、国の借金を返そうと差し出したのだ。このような時に、大統領の息子は、財閥から「政治資金」を受け取っていた。そして、受け取ったカネのうちかなりの額を自宅の倉庫に隠し、その前に家具を積んでいた。税金を払わないためだ。大統領の息子の「格」が、このような水準だとは、はずかしい限りである。
弘業氏は、林東源(イム・ドンウォン)前国政院長から約2500万ウォン、辛建(シン・ゴン)現国政院長から約1000万ウォンを受け取っていた。名目は「もち代」だ。前・現国政院長は、いずれも国家情報院の公金ではない個人のカネを渡したと主張している。公金ではないという彼らの主張を信じることは難しい。個人のカネという話しを信じるとしても、国家情報機関の長がなぜ大統領の息子に「もち代」を渡さなければならないのか理解できない。
林氏と辛氏は、これについて国民が納得できる釈明をしなければならない。もし彼らの釈明に納得がいかなければ、検察が捜査に乗り出して、カネの出所からカネを渡した理由まで、一つひとつ突き止めなければならない。そうしなければ、これからも国家機関を私物化した権力者やその側近が、国政をろう断するという弊害は根絶され難い。決して適当に処理されてはいけない。






