
私には新しい挑戦が待ち構えていた。だからと言って、韓国との因縁をここで断ち切ろうとしているのではない。私と韓国チームをために、暫くの別れが不可避だということだ。私は、選手たちと、常に一緒にいることを好む。朝から晩まで、毎日毎日…。韓国チームでは、当分、そうする機会がない。韓国では、私のことを英雄だと言ってくれているけど、私は基本的にサッカー監督に過ぎない。サッカー監督は、グラウンドで生きていくべきだ。私が、安貞桓(アン・ジョンファン)など韓国のスター選手たちを酷く扱ったのも、彼らがグラウンドの外での人気に酔っていたからだ。
韓国チームとしても、新たな挑戦が必要だ。これまでにわれわれみんなで成し遂げたことを評価し、分析しなければならない。そうするためには、私のいない時間が必要だ。韓国チームは、もはや自らの力ですべてのことを解決できる力量を身につけている。
私は、むしろ韓国サッカーの未来にもっと多くの関心を持っている。私が青少年チームの若い選手たち(チェ・ソングク、チョン・ジョグクら)を代表チームに入れていたのも、彼らこそ韓国サッカーの未来だからだ。私が、韓国の人々から受けた愛に報いる道は、韓国サッカーが「根本的に」世界トップクラスのレベルに上がるよう手助けすることだと考えている。
私が、韓国選手の中で何人かを連れて行くだろうとした報道があった。一定部分は事実だ。各チームと、さらに話を詰めなければならないことだが、どんな形であれ韓国サッカーに貢献したい。これが、私の気持ちだ。
私は、韓国選手たちが欧州市場で過小評価されているという見解に同意する。私の目から見ても、韓国チームには欧州リーグで立派にプレーできる力量を備えた選手が多い。
しかし、重要なのは、欧州に進出しようとするならば、自分に合ったチームを選ぶことだ。報酬が重要な基準になってはならない。もっと多くの報酬がもらえるからといって、自分に合ってもいないチームを選択しては、ろうばいする公算がある。すでに安貞桓の前例があるではないか。相対的に名声の低いチームでも、十分に経験を積み、一歩、二歩と進んでいけば、名門チームでプレーできるチャンスはいくらでも訪れる。
私がスペインのレアル・マドリードチームを采配していたとき、カメルーンから来たFWのエトーという選手を連れてきていた。当時、彼は17歳だった。レアル・マドリードのような名門チームは、内部の競争も激しく、選手たちを大変緊張させていた。当然のことだが、エトゥのような若い選手たちは、適応に失敗するケースが多かった。試合に出るのもままならなかった。それで、私は彼にレアル・マドリードよりは順位の低いスペインの他のチームに移してやった。そのときから、エトーは立派なプレーを繰り広げ、チームの主力選手の位置をものにした。もちろん、毎試合、出場することもできた。韓国選手たちも、エトーのように自分自身を啓発するのに適当なチームを選ぶべきだ。
私が、どの選手を連れて行くか、明らかにすることはできない。韓国選手の個々人を比較したくはない。すべての選手を尊重する。韓国Kリーグで活躍する選手だからといって、次のW杯の主役になれないわけではない。
昨年、私がKリーグのことを「ウオーキングゲーム(Walking Game)」と表現したことが、誤解を買ったようだが、Kリーグを侮辱(Insult)しようとしたのではない。ただ、大事な試合なのに、スタンドには空席が多かったし、ファンたちのプレッシャーが弱い雰囲気に対する自分の感想を述べるつもりだった。
プロ選手は、毎日を激しいプレッシャーのなかで試合をこなしていかなければならない。それでこそ、選手たちはプレーにベストを尽くすことができ、試合能力の向上もはかれる。選手たちのスピードと闘志も、観衆のプレッシャーが強ければ強いほど向上する。W杯以前までは、韓国代表選手たちにつまらない失敗が多かったのは、プロサッカーの冷めた雰囲気とも無関係ではないというのが私の見解だ。緩い試合の展開に慣れていると、重要な瞬間に強力な集中力を発揮できなくなる。
正直に言って、私は、最初は韓国のサッカー熱がさほど高くないと思っていた。競技場に家族連れで訪れる観衆が多いのも、よく理解できなかった。欧州では、競技場は熱狂ファンたちのため、いかにも危ないという印象があり、子どもたちを連れて訪れるケースが珍しいからだ。
私は、6月の一ヵ月間、終始自分の考えが間違っていたことに気づかされた。韓国には、世界でもっとも美しいサッカーファンたちが、どこよりも多かった。むしろ、世界のサッカーファンたちが、韓国の観衆の姿を見習うべきだと思った。あれほど大勢の人が、あれほど熱狂的に応援を行いながらも、一件の事故も起きずに済んだのは、韓国でのみ可能なことだ。私は、W杯期間中に見せてくれた韓国民たちの熱狂的な応援が、プロサッカーにつながることを望む。韓国が近いうちにW杯に口付けできると信じているのも、韓国には世界でもっとも素晴らしい応援団がいるからだ。
これまで、韓国チームと韓国に失望したことがなかったわけではない。トルコとの3位決定戦でのように選手たちがしてはならない失敗を犯したとき、マスコミがとんでもない記事で韓国チームを分裂させようとしたときはそうだった。
いずれの場合にも、私は韓国の人々に遠まわしではなく、言いたいことを直接語りかけようと努めた。韓国の人々も、私に対してやはりそうした。ときには論争もあったが、基本的に我々はお互いを尊重した。
このすべての過程を経て、韓国は私に多くのことを意味する国になった。私は、欧州でプロチームの監督や国家代表チームの監督として数々の経験をしてきた。しかし、韓国とともに成し遂げたことは、自分の人生のどの部分よりも多くのことを意味する。鄭夢準(チョン・モンジュン)会長や、韓国国民の声援と支援がなかったら、このあとも長らく韓国国民がおとぎ話のように語り続けるだろう韓国の4強神話は、きっと不可能だったはずだ。
韓国人は温かい人たちだ。私は、韓国国民を愛する。韓国での思い出を永遠に胸に収めておくだろう。韓国と韓国サッカーに永遠なる幸運を祈りたい。では....。
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