Go to contents

[オピニオン]「政治信念」が変わったなら

[オピニオン]「政治信念」が変わったなら

Posted April. 11, 2002 09:45,   

与党民主党の盧武鉉(ノ・ムヒョン)候補は、仁川(インチョン)市での党内予備選挙での勝利の後「謀略と左寄り攻勢に耐え抜いた特別な意味がある」と語った。果たしてそうだろうか。選挙戦略上の言葉だろうが、やや性急の感がある。いや、それよりも、一時でも早く窮地から脱したい盧候補の心情を吐露したものと思われる。盧候補が「謀略と左寄り」と呼んだ内容は、そう簡単に消え去るものではない。大統領選候補の政治理念や政策路線にかかわるためだ。大統領選の本選はもとより、もし大統領になったとしても、その理念と路線は最後までつきまとう。謀略や左寄りという言葉で、そう簡単に洗い流せるものではない。当時の発言については「場の論理」で説明して反ばくしたものの、「在韓米軍の撤退」「財閥解体」の発言は、「もはや違う」という言葉では、簡単に消し去ることはできない。そして、今でも「保安法廃止」は彼の所信である。

政治家の理念と政治信念は、これまでの経験と思考を通じて、長期にわたって蓄積されてきたものであるため、状況によって瞬間に簡単に変わるものではない。また、自分の政治信条をそのように変えるものでもない。さらに、そのように簡単に変わる言葉を信じる者もいない。新たに飛び出したマスコミの「国有化」「廃刊」発言も、思考の根底で一脈相通ずるものとみられる。

このような点から見ると、ふと「盧候補は、果たして大統領選に出馬するのか」という思いがする。このように多くの人々に不安を与えて、どうやって選挙で闘うのであろうか。盧候補の言葉どおり、大統領になって国民を統合させるなら、在韓米軍、財閥、保安法の問題について、所信を異にする多くの人々が今何を考えているのか、知らなければならない。根本的に体制にかかわる問題であるという点で、深刻さが増す。盧候補は、政策の変化だと考えるかもしれないが、盧候補と異なる信念の人々には、これまで生きてきた体制を覆すかいびゃくとなる。このような状況で、黙っているだろうか。彼らに「場の論理」という説明は、苦しい言い訳に過ぎず、疑念のみを育てる結果となる。さらにそのような衝撃は容易には静まらない。盧候補はこのことを深く考えなければならない。

盧候補の説明は、他の問題も生み出した。「悪法は守らなくてもいい」と唱えた時、歓呼した現場の労働者、そして「在韓米軍の撤退」や「財閥解体」に共感して声援を送った支持者には、果たして立場の変化をどう説明するのだろうか。目の前の党内予備選挙の勝利のためなら、ありとあらゆる応急処置も辞さないという姿勢では、より大きな勝利は得がたい。今、盧候補が経験している状況が、これをよく物語っている。大事を図ろうとする政治家ほど、ひと言の重みを自覚しなければならない。

今「盧風」が吹いているという。盧候補は、この風にさらわれることなく、風の内容を保守的に、しっかりと判断しなければならない。理念や左右論争を一瞬にして吹き飛ばしたと思っては、自らより大きな落とし穴にはまる恐れがある。単発性の問答で終った理念検証過程が、新鮮な関心を引くことができなかっただけで、問題の素地までなくなったわけではない。さらに、これまでは金大中(キム・デジュン)大統領支持者の間で起こった民主党内の行事に過ぎない。しかし本選は全く状況が異なる。反DJ(金大統領)ムードが強い所が多い。そのような点で、政治理念や政策路線について、はっきりとした立場を明らかにする必要があるのは、むしろ盧候補自身である。

盧候補は、自分の風に舞い上がってしまったようだ。マスコミ観についての立場表明で明るみとなった一連の言葉の変化と過激な発言が、そのいい例である。支持者に闘士的イメージを与えようとしたのかもしれないが、むしろ人物検証面では、道徳性の問題点とともに「どこか不安な人物ではないか」という点を浮かび上がらせたのではなかろうか。冷静にみて、党員よりは国民がより厳正で、より多い。闘争力よりは節制力が、ポストモダニズム時代の政治指導者のより大きな徳目なのである。

党内予備選挙と「盧風」は、権力型不正への国民の関心に遮断幕を張ることで、政権勢力にとって有利に働いている。ここから心配されることは、万一、政権勢力の一角で「今のような状況なら、この機会により大きく状況を変えることはできないか」と考える可能性である。先月25日、自分の地盤の大邱(テグ)予備選挙を前に、金重権(キム・ジュングォン)候補が突然候補を辞退したことと、最近話題になっている文熹甲(ムン・ヒガプ)大邱市長の不正容疑捜査を結びつける疑惑の視線がある一方、民主党の連青組織の予備選挙への介入疑惑も提起されている状況である。大きな枠でみると、政界再編と陰謀論の火種は、まだくすぶっている。

崔圭徹(チェ・ギュチョル)論説室長