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良心的兵役拒否めぐり論議へ

Posted January. 31, 2002 09:53,   

「良心に従って行動できる国民の基本権を保障せよ」

「神聖なる国防の義務に例外はあり得ない」

ソウル地裁南部支部が29日、良心的兵役拒否者(conscientious objector)の李某氏(21)の弁護人が提出した、現行兵役法に対する違憲法律審判提訴を受入れたのを機に、良心に従った兵役拒否問題が改めて論議を呼んでいる。

市民団体は「宗教的な信念による兵役拒否者の人権を保障すべきだ」としながら、代案として代替服務制を主張している。これについて、国防部は「代替服務は公平性に反する」と、原則の固守で対応している。

▲賛否両論〓良心的兵役拒否の問題は、これまで少数の宗教団体に限られ、論議そのものが不穏とされてきたが、昨年11月の国家人権委員会が発足したことを機に、急速に世論の関心を集めはじめた。

昨年12月17日、仏教信者であり市民団体で活動していた呉太陽(オ・テヤン、27)氏が、入営を拒み、国家人権委員会に陳情書を提出したことで、良心的入営拒否と代替服務制が本格的に世論に取り上げられるようになった。

憲法上保障された良心と宗教の自由が、兵役法によって侵害されてはならないというのが、良心的兵役拒否に賛成する側の主張。軍に服務しなくても、社会奉仕活動を通じて兵役に代えられるよう、現行の代替服務制を拡大改善しなければならないと主張している。

平和人権連帯の崔正鏜(チェ・ジョンミン)幹事は「現役として入営を拒否した者への処罰規定が、良心的、宗教的理由による兵役拒否者にも無制限に適用されることによって、彼らは「銃か監獄か」という、切迫した状態の中で選択を余儀なくされている」と語った。

聖公会(ソンゴンフェ)大学教養学部のハン・ホング教授は「すでに、各種兵役特例や公益勤務要員などで、現役としての服務を免除された人が20万人に迫っている」として「代替服務制を弾力的に運営して、良心的兵役拒否者が社会奉仕活動を通して服務に代えられるようにすべきだ」と主張している。

しかし国防当局は、公平性の問題と、代替服務の副作用を理由に挙げて、これに反対している。現行の公益勤務制度にも、さまざまな副作用が発生している状況の中で、代替服務制まで導入すれば、副作用と不正が一層深刻になるのは火を見るよりも明らかだ、というのがその理由。

国防部関係者は「特定の宗教集団に限って兵役免除の特典を与えるのは、不公正の是非を引き起こしかねない」とし、「入営の際には宗教を持っていたとしても、代替服務を終えた後、再び宗教を捨てるといった手口も生じかねない」と指摘した。

▲現状と傾向〓良心的兵役拒否者は、毎年600人程度の割合で発生している。兵役の拒否により、これまで1万人程度が刑事処罰を受けており、現在およそ2000人が服役している。彼らは、ほとんどが「エホバの証人」か「第7日安息日(Seventh day Adventists)」の信者と言われる。

入営後、銃を取ること(執銃)を拒否した場合、軍刑法上の抗命罪にあたり、法定最高刑の懲役3年の刑に処せられることになるが、入営そのものを拒否すると、通常1年6ヵ月〜2年刑の宣告を受ける。このため最近は、入営後に銃をとることを拒否するよりは、初めから入営そのものを拒否するケースが多い。

世界的に徴兵制を採っている国のうち、良心的兵役拒否を認めていない国は、南北朝鮮をはじめ40カ国余り。およそ30カ国は、代替服務制を認めている。

ドイツなど、一部の先進国と東ヨーロッパ諸国は、良心的兵役拒否を認めている。台湾も2000年から代替服務制を導入して、宗教的信念による兵役拒否を徐々に認める傾向にある。

▲今後の展望〓良心的兵役拒否を支持する動きが、しだいに活発になっている。参加連帯など26の市民団体は、来月4日連帯会議を設置して、立法に向けて本格的なキャンペーンを展開する予定だ。

しかし国防部は、代替服務は絶対に受け入れられないとの態度を堅持しており、兵役法の違憲の可否を弁じる憲法裁判所の決定が出るまで、この問題は、引続き社会的論議を呼びそうだ。



changkim@donga.com