
外国人が韓国の文化について語ろうものなら、穴にでも入りたい気持ちになる。子供たちの個性などはまったく考慮せず、まるで金太郎飴のように画一化した人間にしてしまう教育文化、自分の家族さえよければ後はどうでも良いといった家族文化、封建時代の領主そっちのけのオーナー中心の財閥文化、折衝などは存在せず極端な対立だけが繰返される労使文化、政権が改革されても改善されない食物連鎖的腐敗文化、経済危機のたびに復活する朴正熙(パク・ジョンヒ)元大統領流の軍事独裁文化、統一の話が出ただけでアレルギー反応を起こす冷戦文化など等。5000年におよぶ悠久な伝統文化のほかにも、社会の至る所には自慢したくない文化が依然として存在している。
20人余りの錚々たる学者が参画したこの本は「一国の文化は、政治や経済の発展とどのような関係があるか」といった、魅力的な話頭を示しているという点で注目される。市場経済と民主主義こそ国家発展の普遍的な指向点であると前提した後、その足を引っ張っている文化的な柵を立体的に究明している。アジア・アフリカ・ラテンアメリカなどの「退行的」な文化様相を万遍なく取上げているだけでなく、外国人の目に映った我々の姿がうまく投影されている。
「文明の衝突」という著書で知られるサミュエル・ハンチントンは序文の中で、一国が発展する様相を文化的観点から分析することの重要性を謳っている。「1960年代初頭、韓国の経済水準はアフリカのガーナーとほぼ等しかった。ところが30年後、韓国は産業化と民主化を果したが、ガーナーはできなかった。このように大きな開発の格差を、どのように説明できるだろうか」。
フランシス・フクヤマをはじめ、20人余りの錚々たる学者の殆どが、90年代末に東アジアを強打した通貨危機の原因とその結果に注目している。彼らは、儒教の思想に基づいたアジア的価値が、長期的観点から教育と成就を重視することで高速成長を果したものの、西欧的産業化を完成する上では障害要因に成り得ると診断している。とりわけ、韓国や中国のように根強い縁故主義により法律と制度の整備が見送られ、信頼に基づいた社会的資本の蓄積が疎外されるケースについて大きな懸念を示している。
しかしながら、幾人かの有力な執筆者によってこの本のバランスが保たれている。ハーバード大学経済学部のジェフリー・サクス教授は、主にアフリカの事例を引用しながら「文化の重要性は政治・経済・地理など相異なる変数の影響力を認めるといった、より包括的な分析フレームによって検証されなければならない」として、国家の発展に対する文化的決定論の危険性を警告している。ハーバード大学で哲学を教えている中国系のトゥ・ウェイミン教授は「一つの文化だけが近代化(modernity)と照応するとは限らず、国家と家庭を重視する中で市場経済と民主主義の暢達は可能である」という点を力説している。
イ・ジョンイン訳、原題「Culture Matters」(2000)
「文化が重要だ」
サミュエル・ハンチントン 共同編集
イ・チャングン仁川大学教授(国際経済学)






