「周辺4強とは円満な関係を維持している。米国とは同盟、日本とは共助、中国やロシアとはパートナー関係を維持している。4国はもちろん全世界が南北の和解協力を支持している」キム・デジュン(金大中)大統領が2月16日外交通商部の業務報告の際にした発言だ。金大統領のこのような評価とは違い、最近の4強外交は決して円満ではないようだ。ジョージ・W・ブッシュ米共和党政権の発足後、韓国と朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の関係は足踏み状態にある。強大国である米—露の「国家ミサイル防御(NMD)体制」を巡った力比べの狭間で韓国のイメージは地に落ちた。日本との間では教科書歪曲問題が、中国とはニンニク紛争がぶり返した。こうした現状は「4強外交の総体的危機」とまで言われている。:——編集者注
4強外交の危機
政府は昨年韓・米・日の対北共助を基に初の南北首脳会談を実現し、朝鮮半島に脱冷戦の風を巻き起こした。これは「同盟」である米国と「友邦」である日本意外にも過去の敵対国だった中国やロシアの支持と協力をも必要とする新しい局面に差し掛かったことを意味する。外交部当局者の間では「過去冷戦時代の外交は同盟と同じ列に並んでさえいればことが済む『1次元方程式』だったが、今は中国やロシアとの関係まで考慮する『多次元方程式』になった」という話が交わされている。しかし政府は『多次元方程式』に『1次元方程式』の解法を適用し、限界を露呈した。政府は△中国筋の外交官を大統領外交安保首席秘書官に起用し△外交部長官経験者を駐中大使に任命するなど中国の役割をとりわけ重んじるような印象を与えた。これが米国の誤解を招いた。ウラジミール・プーチン露大統領の訪韓を実現させるため政府が1年近くも腰を低くしたことや借款償還問題の処理方法は外交部内部ですら問題が提起された。対日関係は最近の教科書歪曲問題で右往左往している。
米国の疑い
先月8日の韓米首脳会談で明らかになった北朝鮮に対する両国の見解の差に対し、外交実務者は「既に内在していた問題だった」と話している。これまでは金大統領とクリントン元大統領の「親友関係」が問題を隠していただけだったというのだ。2月、当時のイ・ジョンビン(李廷彬)外交部長官とイム・ドンウォン(林東源・統一部長官)国家情報院長が相次いで米国を訪問したのは韓米首脳会談を控えこうした見解の差を縮めるためだったが、結果は失敗に終わった。ある外交消息筋は、「両氏が対北抱擁政策を力説しすぎたせいで両国政府の間の溝が深まっただけ」だとため息をつく。金大統領が訪米中いきなり南北基本合意書と包括的相互主義を強調したのも、北朝鮮のキム・ジョンイル(金正日)総書記の訪韓についてブッシュ大統領が強い疑いを見せると、あわてて口をついて出た発言だというのだ。この消息筋は、「当時米国は韓国政府が好んで使う『平和』という単語を相当嫌っていた。宣言であれ協定であれ、南北間の『平和』は即ち『停戦状態の終了』を意味し、それは3万7千人の駐韓米軍の立場に直接影響するからだ」と話した。外交安保研究院のキム・ソンハン(金聖翰)教授は、「韓国外交が北朝鮮を意識する幅と深さが大きすぎて4強外交を対北政策に合わせている。だから韓米関係をないがしろにし、中国・ロシアとの協力関係を強化してこそ対北政策が成功するかのように錯覚した」と語った。
「消防外交」から「予防外交」へ
4強外交は韓米関係からややこしくなっただけに、そこから解決すべきだというのが専門家の意見だ。高麗大学行政学科のハム・ソンドゥク(咸成得)教授は「政府が金総書記の早期訪韓にこだわるなど、南北関係を急いだことで韓米関係も悪化したことを肝に銘ずるべき」だと述べた。統一研究院のキム・グックシン(金国新)選任研究委員も「ブッシュ政権が対北政策の方向に迷うと韓国の対北抱擁政策も一緒に漂流する可能性があることを念頭において4強外交の枠を整えるべき」だと強調した。外交安保研究院のパク・ドゥボク(朴斗福)教授は「韓米同盟体制を朝鮮半島の脱冷戦の流れに合わせてより強力な枠組みに整備すればかえって中国やロシアとの協力の幅が広まる可能性もある」と述べた。
夫亨權(ブ・ヒョンゴン)記者 bookum90@donga.com






