知りたくてたまらない。17日(金)の夜、国会で行なわれた‘政治コメディ’のシナリオは、いったい誰が書いたものなのか。現場監督は肩書上、民主党の院内総務が担ったに違いない。とはいえ、果たして議事堂の外で遠隔操縦をした総監督は存在しなかったのだろうか。
知りたいことが更にある。同日の夜、民主党の総裁である金大中(キム・デジュン)大統領は、何処で何をしていたのか。金大統領は同日の午後、アジア太平洋経済協力会議(APEC)での首脳会談を終え、ブルネイから帰国していた。夜中、民主党の議員らが国会議長室で行なった‘コメディ’を総裁がテレビを通じてでも見たのかどうか知りたい。与党議員らが自党所属の国会議長が司会を出来ないように議長室に閉じ込めた、その上、劇的な効果を上げる戦略からか、女性議員を先頭に立たせた、めったに目にできない政治ドラマを、大統領が直接見たとしたら、どんなことが思い浮かんだのだろうか。
金大統領こそ討論と妥協、多数決の原則を強調してきた議会主義者である。金大統領は2ヶ月前、放送3社の特別会見でこう述べたことがある。「国会は国会法に基づき運営されるべきである。案件を上程・討論し、協商を通じて合意されれば満場一致で通過させる、それが出来ない場合は票決に付すべきだ」しかし、自分の率いる党の国会議員らの反民主的かつ反議会的な行動を、大統領はどんな思いで見守っていたのだろう。
一層知りたいことがある。その夜、検察首脳部に対する弾劾案を霧散にさせるために民主党の講じた緻密な戦略を、大統領に事前に報告したかどうかである。今までの青瓦台(大統領府)の立場は、国会で行なわれたことは党に一任するとのことであった。今回の出来事も一々報告すべきことではないという意味であろう。
とはいえ、これをそのまま信じても良いのだろうか。弾劾案の処理は国内政治においては最大の懸案であるため、これを霧散にさせるとの原則はとっくに決められたとしても、どんな方法で進めるかによっては、政局に及ぼす波長に雲泥の差が生じることを政治の‘選手’らが知らなかった訳がない。としたら、その具体的な戦略を党総裁に報告もしないまま、党の独自的な判断によって行動に移せたのかも疑問である。
それも、今回より遥かに些細なことまでも直接指導・監督する大統領の平常の業務スタイルから判断しても、弾劾案の処理を党に全面的に委せたとは考え難い。
より疑問に思われるのは、18日午前、弾劾案の処理に関する国会状況を政務首席から報告された時の大統領の態度である。金大統領は報告を聞いただけで、一言も語らなかったという。その沈黙の意味は何なのか。弾劾案をうまく処理したとの意味なのか、それともその処理が杜撰だったとの意味なのか、見当もつかない。
予想通り、野党は全ての国会日程を拒否し、国政は大きな支障が出た。そのため、検察を救済しようとして国を滅ぼすのではないかとの批判の声も出始めている。
民主党内では党の刷新論も高まりつつある。しかし、大統領は依然として口をへの字にしたままである。金大統領は今年の夏、民主党の国会法改正案の見切り発車によって政局が梗塞した際にも、相当期間沈黙で一貫した。それなら、党の総裁職を辞任して、大統領職に充実すべきだとの指摘も少なくなかった。総裁は党の最高責任者である。所属党の議員らが行なったことに対して‘党の判断に委せる’との責任転嫁をするような態度を取ることは理解に苦しむ。
金大統領は今日(23日)再び出国する。‘アセアン+韓中日’首脳会談に参加するためである。高齢にもかかわらず首脳外交に対する大統領の情熱は大したものとしか言えない。しかし、金大統領と民主党に対する支持度は最悪の状態だ。
世論調査専門機関であるハンギル・リサーチとネイル新聞の世論調査(11月11〜13日)の結果を見ると、金大統領の国政遂行への支持度が最低である34.5%に下落した。弾劾案騒ぎ以前の調査だったにもかかわらず。先月の調査結果は46.5%だった。一層目を引く点は、金大中政府の誕生以来初めて民主党とハンナラ党の支持度が逆転し、民主党30.5%、ハンナラ党33.1%となった事実である。
金大統領は12月初め、ノーベル賞の受賞のために再び出国する。その頃は政治問題はいくらか解決されるかも知れないが、経済状況はより一層難しくなるという。国民の心で感じる心感温度は体感温度よりもずっと低くなるかもしれない。






