Go to contents

[社説] 趙明禄副元帥、訪米の真意は?

Posted October. 01, 2000 18:51,   

人民軍副元帥で北朝鮮権力序列3位の趙明禄(チョ・ミョンロク)国防委員会第1部委員長兼総政治局長が9日に米国を訪問するのは、北-美関係において画期的な出来事だといえる。現在の北-米関係や朝鮮半島情勢を見るに、金正日(キム・ジョンイル)総書記が自らに次ぐ軍部実力者を特使としてワシントンに派遣するその真意が注目される。

まず我々は趙副元帥の訪米が、これといった進展を見せていない北-米関係にとって新たな転機となることを期待する。北-米関係はこれまで、南北韓関係の急進展の陰で相対的に小康状態を見せている。しかし趙副元帥は誰よりも金委員長の「腹の内」を知っている軍部の核心人物である。今回の彼の訪米で、核やミサイル問題、テロ指定国解除問題など、両国関係の正常化を遮っている諸問題に風穴を空けてほしい。

北-米関係の進展は北朝鮮の改革と開放を後押しすることになり、南北関係にもいい影響を及ぼすだろうと思われる。

しかし万が一、北-米関係の進展を望む我々の善意とは裏腹に、北側に別の「真意」があると

すれば話は違ってくる。北朝鮮は、現在の停戦体制を平和体制に転換するためには何よりも米国との協商が優先されるべきだという立場を堅持してきた。いまだにその立場が変わる兆しはないのが事実である。

北側は、第1次南北国防長官会談においても軍事問題に対しては消極的な姿勢を見せ、我々に猜疑心を抱かせた。それで今回の趙副元帥の訪米に対して、北朝鮮が「通南通米」ならぬ「封南通米」政策を展開する意図があるのではないか、という分析が専門家達の間から聞こえてきている。

北朝鮮が、朝鮮半島の緊張緩和や平和体制の構築問題などの根本的な問題に関しては相変わらず米国だけを相手にしようとし、韓国とは経済協力や食糧支援などの人道主義的な問題のみを協議していればよいというような考えを持っているとするならば、6.15南北共同宣言は何の価値もなくなってしまう。6.15宣言はあくまでも朝鮮半島問題の当事者が南北朝鮮であることを前提としている。

趙副元帥が今回電撃的に米国を訪問するのは、今が11月の大統領選挙を目前としたクリントン政権ともっとも有利に協商できるという判断であると思われる。いずれにしろ北朝鮮は、この 趙副元帥の訪米を南北関係に傷を付けるようなものにしてはいけないということを肝に命じるべきだ。そこから北-米関係の実質的進展が可能である。