高麗航空(Air Koryo)の特別機が午後1時頃、金浦空港を離陸してから予定より5分ほど早い午後1時45分頃ピョンヤン(平壌)のスンアン空港に到着するまで、韓国側の訪問団は胸の高鳴りを抑えきれない様子であった。
訪問団は飛行機に搭乗した後、スチュワーデスの案内よって朝鮮民主主義人民共和国と書かれた北朝鮮の入国申告書と税関申告書を作成しながら北朝鮮を訪れることを改めて実感。訪問団は機内にある北側の労働新聞など、北朝鮮の新聞と雑誌を関心ありげにめくったりした。
南北直航路を飛んでいた飛行機が北側の領地に入ると「北朝鮮だ!」という歓声があがった。窓際には3、4人が群がり半世紀ぶりに訪れる古里の山々を眺めながら感慨にふけていた。高麗航空のスチュワデスは訪問団に飲物と間食をサービスし、不便な点はないか、必要なものはあるか、と細心の気配りをみせた。北側のスチュワーデスは赤と黄色のリボンで髪を結び、胸にはキム・イルソンのバッチを付け視線を集めた。飲物の中にはサンキスト、スプライトなど、英語名のものも見られた。サービスでくれたガムにも英語でbananaと書かれてあった。やがて窓の外からスンアン空港が見えはじめると機内ではまた歓声とともに拍手が聞こえてきた。「夢にみた古里です。親族との熱い再会を期待します」という挨拶とともに忘れ物がないことを確かめるスチュワ-デスのアナウンスが流れ、飛行機は空港に無事着陸した。
ピョンヤンの空港にはカメラを持った北側の取材陣がすでに待機。花束をもった子供の姿もあった。ジャン・チュンシク団長がまず飛行機から降り、迎えに来た北側のジャン・ジェオン朝鮮赤十字会の委員長に「南の赤十字社総裁のジャン・チュンシクです。迎えに来てくださってありがとうございます」と挨拶し、鄰の朝鮮赤十字会の関係者らと握手を交した。






