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香港ELSの補償案発表、「不完全販売」の根絶対策を示すべきだ

香港ELSの補償案発表、「不完全販売」の根絶対策を示すべきだ

Posted March. 12, 2024 08:50,   

Updated March. 12, 2024 08:51

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6兆ウォン近い投資損失が予想される香港H指数基礎株価連動証券(ELS)事態と関連し、金融監督院(金監院)が昨日、紛争調停基準案を発表した。現場点検の結果、金融会社の無理な実績競争と不完全販売の形態を確認し、投資損失の全額補償を受ける可能性を残しておいた。逆にELS投資経験などを考慮して、補償を最初から受けられないこともある。一括的な基準で補償した過去と違って、具体的な状況にともなう差等補償の原則を明らかにしたのだ。

ELSは、100%損失まで覚悟しなければならないリスクの高い投資商品であり、一次的な責任は投資家本人が負わなければならない。だが、被害が大きくなったのは、銀行・証券会社などの販売会社の責任が大きい。金融監督院が2ヵ月間、販売会社11ヵ所を現場点検したところ、不完全販売事例が大量に摘発された。ある銀行は、手数料の目標を前年比50%以上引き上げ、会社を上げて販売を励ました。ELSを販売すれば、インセンティブの加点をつけ、職員間の競争をあおった。株価指数の変動性が拡大する時は、販売限度を削減する内部規定を無視して販売を増やしたところもあった。

このような背景の中で、現場では投資経験の少ない金融脆弱階層にまで高危険の金融商品がむやみに販売された。ある銀行は、聴力の弱い80代の投資家に、ELS商品を歪曲説明して加入させた。顧客が銀行を訪問していない状態で、加入申込書などに代わりに署名し、他の職員が顧客の役割をしながら虚偽で録音を行ったりもした。元金損失のない安全な商品であるかのように説明したり、書類を改造して加入手続きを進めたこともあった。

金融当局の責任も軽くない。2019年の海外金利連係派生結合ファンド(DLF)事態と2020年のライム・オプティマス事態などが繰り返されるにも関わらず、問題が生じてから対応する後の祭りの形態を見せてきた。DLF事態以降、銀行の高危険商品の販売を禁止したが、銀行の要求で指数型ELSの販売を許可しておきながら、いざ管理監督は後回しだった。

被害者の損失を補償し、問題を起こした金融会社を処分することは必要だが、根本的にはこのような事態が再発しないようにシステムを見直さなければならない。商品を販売する時ではなく、投資家の収益が発生する時に手数料を受け取るようにし、銀行と顧客の利害を一致させる案を検討するに値する。顧客に損失が発生した時、職員のインセンティブを制限し、銀行の高危険金融商品の販売窓口を制限する方法も議論するに値する。これを機に、派生商品の危険性と投資家の自己責任の原則も明確に知らせなければならない。顧客の利益は眼中にない金融会社の貪欲による消費者の被害を、これ以上放置してはならない。