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「NATO発言」で予想するトランプ2期の新法案

「NATO発言」で予想するトランプ2期の新法案

Posted February. 19, 2024 08:43,   

Updated February. 19, 2024 08:43

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11月の米大統領選挙で再選を狙うトランプ前大統領が、北大西洋条約機構(NATO)に攻勢をかけている。トランプ氏は10日(現地時間)、選挙集会で、NATOの国防費基準を達成できなかった欧州の主要国を「債務不履行者」と規定し、「ロシアのしたいようにさせる」と述べ、侵略まで促す考えを明らかにした。

トランプ氏がNATOに否定的な見解を持っているのは公然の事実。しかし、安全保障「ただ乗り」を主張し、国防費の増額を要求した政権1期を超え、同盟国に対するロシアの武力使用を促すというこの発言は、米国を最強大国にするのに貢献してきた同盟体制の根幹を揺るがす爆弾発言に相違ない。

トランプ氏は14日にも、NATO同盟国が現在、各国の国内総生産(GDP)比で国防費として負担しなければならない割合を2%から4%に引き上げるよう求めた。この基準を満たさない同盟国は、NATOの集団安全保障体制から除外すると警告する側近も現れた。

一部では、トランプ氏の発言の背後にある政治的計算に注目している。この発言は、米上院が中南米からの不法移民の遮断のための国境対策の強化とウクライナ支援を結び付けた安全保障支援予算パッケージを処理することで合意した直後に出た。トランプ氏と共和党の一部強硬派は、ウクライナ支援予算を通過させる代わりに不法移民への強硬対応を要求し、当該予算の処理を遅らせてきた。

しかし、バイデン米大統領が共和党の国境強化要求を大幅に受け入れたことで、ウクライナ予算支援を阻止することが難しくなった。このような状況で、トランプ氏はNATOの国防費の増額に言及し、ウクライナ支援に反対する新たな大義名分として掲げたのだ。ワシントンの情報筋は、この発言をめぐって「トランプ氏の衝動的な面ではなく、目標を達成するために手段を選ばないトランプ氏の執拗な面を示す事例」と話した。

トランプ氏が選挙集会のたびに公約として強調しているウクライナ戦争の早期終結は、ウクライナがかなりの部分の領土を放棄しなければ不可能であるため、実現の可能性は高くない。また、ウクライナ戦争の終結は、トランプ氏が政権1期で推進した1万2千人のドイツ駐留米軍の撤退計画を現実化させる足がかりにもなり得る。つまり、侵攻を促す発言の根底には、中国牽制に集中するため、欧州に対する米軍の介入を減らそうとする外交基調があるのだ。

トランプ氏のこのような行動は、再選時に韓国に提示する新しい「請求書」につながる可能性がある。トランプ氏の最側近とされるオブライエン元大統領補佐官(国家安全保障担当)は東亜(トンア)日報のインタビューで、「在独米軍をグアム、パラオ、ハワイ、アラスカなど、インド太平洋の別の場所に配置することができる」と話した。また、「中国の挑戦に対応するのは米国だけでなく、韓国や日本などすべての同盟国の課題」とし、「韓国が米国との同盟のためにできることは今よりもはるかに多い」と強調した。現在、北朝鮮への対応に限定されている在韓米軍の役割と構成を調整し、中国を牽制するということだ。中国に対応するために在韓米軍の役割を調整しなければならないという主張は、台湾紛争時の韓国の役割など、北東アジアの安全保障構造に重要な変化をもたらす可能性がある。

欧州では、「トランプリスク」に事前に備えられなかったことに対する反省の声が上がっている。次期NATO事務総長として浮上しているオランダのルッテ首相は17日、「もう不満をこぼすのはやめ、欧州の利益に集中しなければならない」と強調した。欧州に劣らない「トランプリスク」に直面している韓国も聞き流してはならない言葉だ。