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地域加入者333万世帯の健康保険料引き下げ、問題は原資だ

地域加入者333万世帯の健康保険料引き下げ、問題は原資だ

Posted January. 08, 2024 08:13,   

Updated January. 08, 2024 08:13

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政府と与党「国民の力」が住宅と車を所有する健康保険地域加入者の保険料を早ければ2月分から引き下げることにした。地域加入者世帯の37%は健康保険料の負担が月2万5000ウォン軽減されるという。収入もないのに家と車があるという理由で高い健康保険料を支払っていた退職者の不満が少しは和らぎそうだ。しかし、総選挙を3ヵ月後に控えて打ち出された今回の対策によって、健保財政の枯渇時点が繰り上げられるのは必至だ。

今回、政府与党は4000万ウォン以上の車を所有する地域加入者に排気量と使用年数に応じて追加徴収していた「自動車健康保険料」を廃止することにした。住宅の「財産健康保険料」を支払う時の控除基準も2倍に引き上げ、住宅価格が2億4000万ウォン以下の地域加入者は「財産健康保険料」を支払わずに済む。現在353万世帯が自動車・財産健康保険料を支払っているが、今回の措置で333万世帯の年間保険料が平均30万ウォン軽減されるという。

所得だけを基準にする職場加入者とは違って、910万世帯1463万人の地域加入者は財産・自動車健康保険料を追加で支払ってきた。自営業者は所得の把握が難しく、資産は多いのに所得が少ないため保険料の負担が少ないのは公平性に反するという批判があったためだ。しかし、生業に車が欠かせない人、住宅のために保険料負担が大きくなった年金生活者の不満が高かったため、今回の措置はやむを得ない面がある。先進国のうち、車に健康保険料を課す国は韓国だけで、所得ではなく資産に課す国は韓国と日本だけであることも考慮されただろう。

しかし、これにより地域健康保険料の収入が年間1兆ウォンずつ減少するのは深刻な問題だ。今年の健康保険料収入は98兆8000億ウォンと予想されるが、支出は100兆2000億ウォンで赤字となる見通しだ。高齢化の影響で高齢者の診療費が急増しており、23兆8000億ウォンが積まれている準備金もわずか4年後には完全に枯渇し、赤字に転じる見通しだ。

政府は支出の効率化などで減少する収入を補うと言っているが、信頼に乏しい。今後、支出が増えることは明らかだ。昨年末、政府が打ち出した介護費対策だけを見ても、4年間で健康保険や長期療養保険に10兆7000億ウォンがさらに支出される。財政枯渇の危機を避けるために、数年以内に7.09%である保険料率を大幅に引き上げるべきだという声が出る可能性が高い。政府は今回の措置が健保財政に及ぼす長・短期の影響を透明に公開し、世論の検証を受ける必要がある。