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ウクライナ軍事支援のジレンマ、韓国企業・同胞の安全が最優先だ

ウクライナ軍事支援のジレンマ、韓国企業・同胞の安全が最優先だ

Posted April. 21, 2023 08:31,   

Updated April. 21, 2023 08:31

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ウクライナに対する軍事支援の可能性を示唆した尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の発言について、大統領室高官は20日、「常識的で原論的な発言」としながらも、「韓国がどうするかは、今後のロシアの行動次第だ」と話した。同関係者は、韓国の国内法や外交部訓令に交戦国や第3国への軍事支援を禁止する条項がないとも述べた。ロシア側が強く反発しているが、「殺傷兵器の支援はない」という政府方針の今後の変化の可能性を開いたのだ。

大統領室側の説明通り、尹大統領の発言は極めて常識的で原論的だ。しかし、韓国の対外関係に大きな影響を与える敏感な事案について、強いてそのような発言をすべきだったかどうかは別の問題だ。尹大統領は「大規模な民間人攻撃や大量虐殺、重大な戦争法違反が発生した場合」という仮定の表現を使ったが、一言一言が敏感に解釈される外交問題では、いくら原論的な発言でも慎重でなければならない。

尹大統領がその発言がもたらす波紋を認識せずに言ったとは思えない。大統領室や政府関係者も「計画なしに出た発言ではない」と強調している。ただ、その波紋の大きさや今後の余波を軽視したのではないかという疑問がある。ロシアは「敵対行為とみなす」と反発し、特にメドベージェフ国家安全保障会議副議長は、「ロシアの最新兵器が北朝鮮の手にあるのを見て、何と言うだろうか」と述べ、北朝鮮への軍事支援のカードまでちらつかせた。

これまで政府は、ロシアに進出した韓国企業と同胞の安全、さらに北朝鮮に対するロシアの影響力を考慮し、ウクライナに人道的・財政的支援をしながらも殺傷兵器の支援は拒否してきた。このため、米国と北大西洋条約機構(NATO)から強い圧力を受け、ロシアは韓国に「関係破綻」を警告した。そのため、苦肉の策として米国と155ミリ砲弾の輸出・貸与契約を結び、米国の空っぽの武器庫を埋める「迂回支援」方式まで動員した。

そのような政府が直接支援の可能性まで開いたのは、数日後に控えている尹大統領の米国国賓訪問と無関係ではないようだ。韓米首脳会談でもウクライナ問題は避けられない議題だ。北朝鮮の核の脅威に立ち向かう拡大抑止力の強化のために韓国の貢献が必要なのも事実だ。しかし、韓ロ関係まで犠牲にすべきかどうかは国益の観点から冷静に判断しなければならない。国際的な普遍的価値も、同盟国としての貢献も重要だが、そのどれもが韓国の同胞と企業の安全より優先されることはない。