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傭兵民族とエジプト大統領

Posted December. 20, 2022 08:47,   

Updated December. 20, 2022 08:47

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王政転覆後、エジプトの初代大統領となったモハメド・ナギブの母親はスーダン人だった。南スーダンは、今でも韓国のハンビット部隊が平和維持軍として派遣されているほど不安定な地域だが、この地域の人々は、古代エジプト時代からエジプトの再精鋭の傭兵部隊であったり、エジプトを脅かす恐ろしい戦闘民族だった。大英博物館に展示されているアッシリアの戦争の様子が刻まれたレリーフには、アッシュルバニパル2世がエジプトのメンフィスを攻略する場面がある。この作品を詳しく見ると、城壁の上で戦っている兵士たちは、エジプト人ではなくアフリカ人だ。当時、エジプトの統治者は南スーダン出身のヌビア人だったからだ。

エジプトとヌビアは何千年もの間、愛憎の関係だった。ナギブはこのような愛憎の中で生まれた。父親は代々続く武人の家で生まれたエジプト軍将校で、母親はスーダン人だった。スーダンの首都ハルツームで生まれたナギブはスーダン総督を務め、スーダン人であるマディ反軍に殺害されたチャールズ・ゴードンを記念するゴードン記念隊を出て、エジプト軍将校になった。

第一次中東戦争でエジプト軍の戦闘は惨憺たるものだった。イスラエル軍は、エジプト軍の問題は有能な将校がいないからだとした。有能な将校が率いるなら、エジプト軍も変わることができる。その実例を見せたのがナギブだった。

戦争英雄になったナギブは、クーデターを起こしたガマル・アブデル・ナセルに擁立されて大統領になり、ナセルによって失脚する。このような経歴を見ると、首をかしげざるを得ない。ナギブはスーダンの立場から見て、エジプトを征服した英雄なのか、裏切り者なのか。面白い事実は、ナセルも祖先を辿れば本当のエジプト人ではない。

韓国も、一世代が過ぎれば多民族国家になる。私たちはあまりにも長い間、単一民族国家として生きてきたためこのような話に不慣れで、周辺国家を善悪で判断する傾向が強い。国際関係は、多様性とダイナミズム、現実的な判断を要求するが、私たちは永遠の敵と永遠の友に分けようとする。このような偏見を正すことがそれほどまでに難しいのだろうか。