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好調だと言っていた経常収支も赤字の恐れ、輸出が丸ごと揺れるシグナル

好調だと言っていた経常収支も赤字の恐れ、輸出が丸ごと揺れるシグナル

Posted September. 09, 2022 08:40,   

Updated September. 09, 2022 08:40

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韓国銀行(韓銀)が、8月の経常収支の赤字の可能性を警告した。商品の輸出入だけを考える貿易収支とは異なり、経常収支は外国と行き来した商品やサービス取引の総体的な結果だ。原油や原材料価格の高騰で貿易収支は5ヵ月連続の赤字だが、金融所得やサービス取引まで含めた経常収支は、黒字基調を維持してきたが、危機に直面した。一週間前、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は、「今年の経常収支は300億ドル以上の黒字を見込んでいる。それほど心配する状況ではない」と言ったが、すでに赤信号が灯っている。

7月の経常収支の黒字は、すでに1年前より85%減少した。他の部門で相殺しにくいほど、貿易損失が大きくなったためだ。8月の貿易赤字は94億7000万ドルで過去最大だ。半導体景気が冷え込み、最大交易国である中国の成長の勢いも衰え、好転する兆しがない。海外で受け取る配当や利子は、世界証券市場の低迷などの影響で減っており、近い将来、海外旅行が本格化すれば、旅行収支も慢性赤字に転じる可能性が高い。

経常収支は、国の経済の健康状態を示す重要なバロメーターの一つだ。経常収支と財政収支の同時の赤字を「双子赤字」と呼び警戒する理由だ。国家債務が1000億ウォンを超えた韓国が、経常収支でも赤字を出せば、国の格付けに悪影響を及ぼさざるを得ない。最近、円や人民元、ユーロ安よりウォン安がさらに進んだのは、米国の金利引き上げにともなう「キングドル現象」と韓国経済の脆弱性をめぐる懸念が重なった結果だ。

問題は、貿易の4分の1、貿易黒字の80%を占めていた中国との関係をはじめ、韓国経済が金を稼いできた構造が根本的に変わっていることだ。先端半導体を除いて、携帯電話やディスプレイなど他の部門で中国との格差が縮まっている。一方、電気自動車のバッテリーは、韓国が生産量を増やすほど、中国産原材料の輸入を大幅に拡大せざるを得ない。

政府は、原油価格や原材料価格さえ下がれば、状況は好転するものと期待している。しかし、ウクライナ戦争はいつ終わるか分からず、原油価格などが正常化しても、一度固まった赤字構図は元通りには戻らない。取り返しのつかない状況を迎える前に、輸出品目の高付加価値化、サービス産業の高度化、交易国の多角化に拍車をかけなければならない。韓国経済の収益構造を根本的に見直さなければ、いつ危機に見舞われるのか分からない。