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デフォルト1ヵ月でパニックのスリランカ、危機の連鎖を止める防波堤を築いているのか

デフォルト1ヵ月でパニックのスリランカ、危機の連鎖を止める防波堤を築いているのか

Posted June. 20, 2022 09:08,   

Updated June. 20, 2022 09:08

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「インド洋の真珠」と呼ばれたスリランカは先月19日にデフォルト(債務不履行)状態に陥り、すべての経済活動がまひした。最大都市コロンボのタクシー運転手は、ガソリンスタンドで3日間列に並んでもガソリンを得られず、低所得層の家庭は1回の食事を2回に分けなければならない状態だ。仕事がない若者は外国に行こうと移民局の前で夜を明かしている。スリランカ政府は、ガソリン割当制度などで難局を突破しようとするが、百薬が効かなくなって久しい。

東亜(トンア)日報がデフォルト状態から1ヵ月が経って訪れたスリランカは、外貨準備が底をつき、国全体がパニックに陥っていた。デフォルトの直接的な原因は、ロシアのウクライナ侵攻だ。戦争で石油価格と食糧価格が急騰し、政府と企業、家計が耐えられなくなった。しかし、それ以前からスリランカはポピュリズム政策で国家の負債が急増したうえ、新型コロナウイルスの感染拡大で主力産業である観光が打撃を受けた状態だった。経済の基礎体力が崩壊した状態で高物価と低成長という複合危機が追い打ちし、政府が白旗を揚げたのだ。

スリランカのデフォルトを軽く見ることができないのは、韓国をはじめ新興国も同様の危機から完全に自由だと言えないためだ。国家負債が雪だるま式に増えた状況で、変化する経済状況に見合った体質改善ができなければ、危機の導火線になりかねない。

何より金融危機は、各国が遠く離れ、産業間のつながりがなくても、資金移動により急速に伝染するという点で危険だ。1997年の通貨危機は、米国の急な金利引き上げにともなう世界的な資金離脱によってメキシコで始まったデフォルトが出発点となった。その後、タイとフィリピンを経て韓国まで危機に陥った。米国の金利引き上げ、ドル高、新興国の資本流出につながる「危機の伝染」を予防できる安全策が必要だ。

韓国経済の基礎体力が良好だとしても、今の現実はそれほど容易くない。物価と成長対策の間で右往左往しているうちに企業の設備投資は3ヵ月連続で減少傾向を見せている。企業に対する規制で民間の雇用創出能力が鈍化する中、硬直した労使関係で労働生産性は世界63ヵ国のうち51位だ。緊縮ドライブを始めた米国が、世界の資金を急激に吸い込めば、基礎体力が弱い国から衝撃を受けるほかない。韓国は「スリランカ発債務ドミノ」を対岸の火としてはいけない。