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未だにシャーロック・ホームズと熱愛中の韓国

未だにシャーロック・ホームズと熱愛中の韓国

Posted November. 02, 2020 08:31,   

Updated November. 02, 2020 08:31

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「シャーロック・ホームズは、有名な探偵で、学者で、化学者であり、私の兄なんですね」

あどけない顔の少女がそう言うと、すぐ背中から世界的な探偵「シャーロック・ホームズ(ホームズ)」が静かに近づいてきて挨拶をする。続いてシャーロック・ホームズは、女の子と一緒に着実に事件を解決していく。この映画「エノーラ・ホームズの事件簿」は先月23日、ネットフリックスが公開した直後、韓国で人気コンテンツ5位となっている。韓国視聴者の間では、「妹を主人公にして、既存のシャーロック・ホームズの叙事をよくスピンオフした作品だ」という評価を受けている。

130年以上前に英作家・アーサーコナンドイルが書いたシャーロック・ホームズシリーズの人気は依然変わっていない。先月だけで、韓国で9冊のシャーロック・ホームズシリーズが翻訳出版された。今年6月、イ・ダへ作家がコナン・ドイルの生家を訪問後に出版した本「コナン・ドイル」(アルテ)は、推理小説マニアの間で口コミが広がっている。新型コロナにもかかわらず、今年7月に大学路(テハクロ)では、演劇「コミック推理劇シャーロック・ホームズ」シーズン2が始まった。

このようにホームズが絶えず再解釈されているのは、「キャラクター」の魅力のおかげだ。明晰な頭脳と冷徹な判断力で代弁されるホームズ家の人物たちが、推理物の主人公として脚光を浴びる。俳優がキャラクターの影響を受けたりもする。BBCドラマ「シャーロック」の主演・ベネディクト・カンバーバッチは、長い顔で韓国の視聴者に「キュウリ兄貴」と呼ばれて、人気俳優となった。ドラマ「世にも奇妙な物語」でネットフリックスのアイコンとして浮上したミリー・ボビー・ブラウンがエノーラ・ホームズの役割を引き受けたのも、ホームズの物語が興行を保証するからだ。

ホームズは、ドラマや映画のような叙事だけで活用されているわけではない。シャーロック・ホームズは、「推理の代名詞なので、商号にも使われる。全国に55の支店がある韓国内最大手のフランチャイズ部屋脱出カフェ「シャーロック・ホームズ」が代表的だ。この会社のクォン・チュンド代表は、「会社名で複数の名前について悩んだが、韓国人にシャーロック・ホームズより直感的な商号はなかった」とし、「2015年に初めて会社を設立後、急激に成長したのには、名前のおかげも大きい」と話した。

しかし、ホームズの人気は、韓国推理コンテンツの貧弱さを表す指標だという指摘もある。最近ウェブ小説とドラマを中心にジャンル物が浮上しているが、まだ推理物を代表するキャラクターと代表作家が足りないという。推理小説を書くとあるウェブ小説作家は、「日本は漫画のキャラクターとして金田一とコナン、小説家として東野圭吾と宮部みゆきを育てた」とし、「韓国で推理物の地位を高めるためには、魅力的な主人公とベストセラー作家の育成のための努力が必要だ」と主張した。


イ・ホジェ記者 hoho@donga.com