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[オピニオン]シュンペーターと開城商人

[オピニオン]シュンペーターと開城商人

Posted October. 30, 2013 04:21,   

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企業家精神の概念を立てた経済学者・ヨーゼフ・シュンペーターは、資本主義は永続できないだろうと見込んだ。危険を甘受し、革新を通じて利益を創出する企業家精神が、「資本主義の真髄」と崇められていることを考えれば、皮肉なことだ。シュンペーターは、「資本主義や社会主義、そして民主主義」という本の中で、資本主義の過度な成功が、資本主義を破滅に追い込むだろうと見込んだ。有閑階級の知識人層が大勢登場し、所得配分や社会正義、公害など、資本主義の脆弱な道徳的基盤を攻撃するだろうということだった。彼の予言は外れたが、彼が指摘した問題が、完全になくなったわけではない。

◆「企業家精神の週間」(10月28〜31日)を迎え、大韓商工会議所が行ったアンケートで、企業家の82%が、「企業家精神が萎縮した」と答えた。世界企業家精神発展機構が発表した企業家精神指数(GEDI)順位でも、韓国は43位と、オーマンやチリよりも遅れている。企業を締め付ける各種の規制、企業家を罪人扱いする政治、反企業的空気などが、企業家精神を萎縮させたという分析が、各経済団体を中心に殺到している。

◆韓国の企業家精神をどう引き上げるべきかを巡る対策は、学者ごとに異なる。同伴成長研究所の鄭雲燦(チョン・ウンチャン)理事長や金鍾仁(キム・ジョンイン)元セヌリ党非常対策委員などは、韓国経済はすでに高度化しており、規制を緩和しても、大手企業各社が果敢に投資できる状況ではないと主張している。二極化を解消し、中小企業を育成する経済民主化が、企業家精神を高め、持続的に成長できる近道だという主張だ。

◆韓国の歴史で、企業家精神に徹していた人たちとして、開城(ケソン)商人が取り上げられている。商人を蔑んでいた空気の中で、彼らは中国と日本とをつなぐ国際貿易を手がけ、高麗人参の製造まで手がけてきた。開城商人らは、いくら金持ちでも、肉を焼くにおいが塀の外まで漏れる人たちは、後ろ指を指したというエピソードを残している。物をだまして売ったり、暴利を取れば、強く制裁を加えたが、損をした仲間には、担保無しに資金を提供したという。このような開城商人の精神を活かすことができれば、シュンペーターの懸念も取り越し苦労になるのでは。

申然鐏(シン・ヨンス)論説委員 ysshin@donga.com