第2次世界大戦の戦没者を追慕するため、サイパンを訪問中の明仁天皇陛下が28日、当初の日程には含まれていなかった韓国人の慰霊塔を突然訪問した。朝日新聞によると同午前、天皇陛下ご夫妻は、日本人戦没者の慰霊日程を終えた後、車に乗って宿所のホテルへ向かう途中「太平洋韓国人慰霊平和塔」と、沖縄出身犠牲者のための「沖縄の搭」に立ち寄り、追慕の意を示した。
これに先んじ、サイパン在住韓国人の代表たちは27日に記者会見し、天皇陛下に、韓国人犠牲者にも追慕の意を表明することを求めた。宮内庁は、28日「二つの搭に対する慰霊訪問は前日に最終確定された」とし「当初、訪問を検討したが、事前に公開すれば状況が複雑化するのを懸念した」と説明した。
キム・スンベク(44)サイパン在住韓国人会長は、28日、東亜(トンア)日報との電話通話で「天皇陛下が韓国人慰霊塔を訪問する直前に、サイパンの日本領事館から訪問するとの事実を通知された」とし、「天皇陛下の決定が非常に電撃的なもので、領事館側はもちろん、当地に集まった日本人記者も『非常に驚いた』との反応を見せた」と伝えた。
天皇陛下は、韓国人の慰霊塔の前で4分ほど立ち止まり、献花や特別な追悼のあいさつなしに、簡単な黙念だけをし、周辺を見回ったものとされる。28日付の日本の夕刊各紙は、天皇陛下ご夫妻のサイパン慰霊塔への訪問を、写真とともに報じたが、韓国人慰霊塔を訪問したことについては、これといった意味を与えなかった。
朝日新聞は、地元の住民たちの反応について「戦争当時に支払わされた犠牲の痛みが、依然治癒されておらず、日本についての思いが複雑」だと伝えた。太平洋戦争犠牲者遺族会のヤン・スンイム会長は「天皇陛下がどんな姿勢で平和塔を訪問したのか分からない」とし、「心からしょく罪するならば(平和の塔の訪問を乗り越えて)、韓国人戦争犠牲者の問題を解決しなければならないだろう」と話した。
hanscho@donga.com