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[オピニオン]100歳のマラソン

Posted September. 30, 2003 23:24,   

「100歳人(Centenarian)の時代」が近付いている。韓国でも100歳以上の人口が2000人を超えたという。米国は100歳人口が6万人にのぼっており、日本は1万5000人に達する。米国の統計庁によれば、100歳以上の米国人が急速に増えていて、2050年になると80万人を超えるという。人間の長寿は嬉しいことだが「幸せな老年」が保障されずに寿命だけ増えても災いになることもある。老年以後の貧困と疾病、寂しさの三重苦に苦しみながら長く生きることは無意味だ。「長寿」と「生活の質」の二兎を追うことはできないか。

◆人生に対する愛着は年齢と比例して大きくなるという。死を控えた人が生きたいという欲望を一層切に感じるのは当前の理だ。しかし私たちの場合、年寄りの自殺率が全体人口の自殺率より遥かに高いという統計が出た。余生を楽しむ年に死を選択するというこの一つだけでも我が国の高齢者たちがいかに痛ましい立場に置かれているのかがよく分かる。韓国人の平均寿命は1970年では63歳に過ぎなかった。結婚して子育てを終えると世を去る年になったのだ。問題は平均寿命が増えるにつれて発生した。子供の教育のために集めておいた金もないばかりか、子供にも依存しにくい世の中になってしまった。

◆経済的な問題の他に夫婦が一緒に生きていく生活にも高齢者層は馴染まない。職場で引退するようになれば、その後20、30年間を夫婦中心に生きていくしかない。しかし奥さんの立場で老年の主人に対する不満がないわけがなく、奥さんの冷遇に主人は疎外感を感じながら葛藤が増幅することもある。内外からの予想もしなかった試練に直面しているわけだ。深刻な老人問題に対して政府は就業機会の拡大など積極的な対策作りに乗り出さなければならない。農耕時代に老人問題が発生しなかったのは年寄りたちに引き続き役割が与えられたからだ。

◆米国のデービッド・スノードン博士は修道女たちが元気に長く生きることに注目して『優雅な老年』という研究書を出した。それによれば、修道女たちの長寿の秘訣は二つだ。一つは祈りと冥想だ。人間の悲しみと苦痛による衝撃を緩和してくれる機能をする。もう一つは共同体の力だ。修道女たちの社会奉仕とお互いを尊重する集団生活が長寿を可能にするということだ。1日は世界「老人の日」だ。高齢化社会を迎える制度面での対応も必要だが、「100歳のマラソン」を準備する皆の心構えもそれに劣らず急を要することではないかと思う。

洪贊植(ホン・チャンシク)論説委員 chansik@donga.com