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[オピニオン]息子は理工系に送らない

Posted April. 19, 2002 09:55,   

21日は第35回「科学の日」だ。例年のように、記念式典を行ない科学技術の重要性を力説して、1日を送ることになるだろう。

しかし、なぜか今年の科学の日は、子どもの頃の「落とし穴遊び」が思い出される。地面に丸く円を描いて、その中に数人を押し込める。自分が円に入っても、誰かを引き込めば出られるのだ。

歴史上今年のように沈痛な「科学の日」はなさそうだ。何といっても、科学技術は国力伸張の原動力と認識され、これを担う科学技術者らは自負心をもってきた

ところが、最近このような自負心は姿を消し「哀れな姿」に成り下がってしまった。昨年末、理工系進学希望者が27%にしか達しなかったという事実が伝えられ「理工系育成策」は国家の目標となった。

少しでも国家の将来を思う人なら、政府の安逸さと社会のあり方に熱を上げる。政府は、学生を理工系に誘致するためのさまざまな案を出している。複数志願を抑制する、外国留学に送る、大統領奨学生を選抜する、兵役特例を広げる、などの案が出ている。遅ればせの感はあるものの、ありがたいことだ。

しかし、このように熱を上げて頭を悩ませ、理工系誘引策を語る人々に共通点を見い出すことができる。それは、この多くの愛国者の中で「自分の息子に理工系を勧める」という者が見当たらないことだ。これまで「息子は理工系には送らない」と言っていた大徳(テドク)研究団地の研究員らが、新たな誘引策を見て心を変えたという話は聞いたことがない。むしろ、あまりにもマスコミが騒ぐので「そんなにひどい所なのか」と認識され、忌避現象が深まっているようだ。

では、なぜ自分の息子は例外とするのか。世俗的な基準による出世コースが見えないからだ。多大な苦労に比べて金儲けが難しく、権力にも近づけない。科学者の名誉を考える人は、すでにごく少数になってしまった。

忌避する核心的な理由がまさにここにあるのに、周りの枝葉ばかりを並べるので、誰も感動しない。政府はこの10年あまりの間、理工系を「落とし穴」にし、これを国民がわかってしまったのだ。それでも、20年後に国民が何かを生産して食べていくには、次の2つの本質的な問題を改善しなければならない。

第一に、待遇を大幅に改善することだ。事実、韓国政府が研究開発費に費やす費用はばく大である。2002年を例に挙げれば、政府予算の4.7%に当たる4兆9000億ウォンが研究開発費に投入されている。国防費などを考慮すれば、先進国と比べても注目に値する水準である。にもかかわらず研究員らは、食べていけないと嘆く。金の使用方法に問題があるからだ。

政府が投入する研究開発費は、もっぱら研究のための材料費、整備費などに限られる。研究員の士気を高めるインセンティブにはほとんど使われない。研究員は、まるでバイキングレストランに来ているようだと言う。バイキングレストランに入って、たらふく食べてもいいと言うものの、持ち帰りはするな、というのである。食べ物に窮する時は、これでもありがたかった。

しかし、隣の家は家に持ち帰っているのを知って考えが変わった。研究費をたくさん与えてもありがたく思わない理由がまさにここにある。今の段階では、研究費5000万ウォンを追加支給する必要はない。給料を50万ウォンアップすることが、より效果的なのが現実である。

第二に、公務員の任用制度を変えることだ。現代国家を運営するのに、科学技術を知らずにできることがどれほどあるだろうか。にもかかわらず、科学技術がほとんどなかった日帝時代に始まった高等考試(高級公務員試験)制度に固執している。これは、地球上で日本と韓国だけにある独特な制度だという。

技術考試は1年に50人しか選ばれないのに対して、人文系では、司法、行政、外務考試、合わせて約1200人以上が選ばれる。そして、政府の高位官僚のうち理工系出身は、15%にも満たない。理工系の進路をこのように塞いでおいて、誘引しようとするやり方には、その場しのぎの感が否めない。

「科学の日」を迎え、政策立案者らに1つ頼みがある。胸に手を当てて考えてほしい。「息子を理工系に送ってもいい」と考えるのか。

もし「ノー(NO)」という答えなら、あなたは「落とし穴遊び」をしているのだ。

イ・グァンヒョン韓国科学技術院大学院未来産業教授(バイオシステム)