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[オピニオン]ソウル型スモッグ

Posted June. 10, 2001 10:28,   

メキシコシティーは、中国の大都市と同様、大気汚染と言えば真っ先に思い浮かぶ所だ。

そのため、外国企業の駐在員は危険手当をもらい、ホテルには「窓を開けて換気をしてはいけない」という案内表示まである。汚染の主犯は、重金属が含まれたホコリで、市民の体内の重金属濃度は、米国などに比べて20倍にもなるという。標高2000mを超える高地で、地形が盆地なので自動車と工場から出る汚染物質がどうしても残存してしまう。

◆歴史的に大気汚染による災難の歴史を振り返ってみると、ロンドンがもっとも酷い。石炭の燃焼による煙が大気に拡散されず、霧と混ざって息が詰まるほどのロンドン型スモッグが発生する。既に14世紀、大気汚染防止に向けた石炭の使用量を制限する勅令を設け、これを違反する場合、死刑に処していた。産業革命以降は、この勅令によって処罰された人が続出した。1872年には243名が処罰され、1952年には1万2000名もの命が失われた。しかし、現在のロンドンの空気は比較的奇麗だ。

◆ソウルをはじめ、首都圏の大気汚染が日増しに悪化している。4月の統計を見ると二酸化窒素や細かいホコリによる汚染度が基準値を超えた瞬間が、それぞれ46回と168回だった。これは去年4月に比べてもかなり悪化している。大気汚染は、黄砂、または最近のような日照りや霧などによる気象条件の影響もあるが、やはり汚染物質の排出が一番の原因だ。ソウルの場合、大気汚染排出量の85%が自動車からの排ガスだ。それで、自動車の排ガスと霧によるスモッグは、ソウル型スモッグと称されている。

自動車の排ガスによる汚染は、さらに様々な汚染へと発展する。ガスに含まれた物質が太陽光線と反応して第二次汚染物質に変わるのである。いわば、ロサンゼルス型のスモッグを起こし、目や呼吸器の疾患を引き起こすオゾンを発生させる。オゾンによる被害の軽減と大気汚染に対する警告のため、政府当局はオゾン警報制を施行中だ。今年も既にソウルなどでは数回にわたって注意報が出された。しかし、市民はこれといった反応を示さなかった。その原因が政府当局の生ぬるい対策のためか、市民の無関心のためなのかは分からないが、市民の健康を損なう大気汚染が日増しに悪化していることだけは確かな事実だ。

尹得憲=ユン・ドクホン=論説委員>dhyoon@donga.com