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トラウマに打ち勝つ共感の力

Posted February. 04, 2023 08:38,   

Updated February. 04, 2023 08:38

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「生きていれば、何とか生きます。私たちが一緒にお互いのそばを守りながら、生きていけたらと思います」

世界の人々が集団トラウマを経験した新型コロナ、関連映像を見るだけでも精神的後遺症を残した梨泰院(イテウォン)ハロウィ-ン惨事、依然として国民の胸に傷として残っているセウォル号惨事…。

ソウル聖母(ソンモ)病院の教授で、大韓トラウマストレス学会の創立会長である著者は、様々な社会的災害と診療事例を紹介しながら、トラウマに対する理解を手助けする。氏は、韓国社会がトラウマに対する理解と感受性がどれほど不足しているかを指摘しながら、「被害者が手を差し伸べるように、そばで見守ることが最も重要だ」と強調する。

「トラウマ(trauma)」の古代ギリシャ語の語源は、「開く」という意味を持っている。穴があくほど深刻な心の傷を負った時、私たちはトラウマを負ったと言う。特定の事件を経験後、以前とは違う人生を送ることになれば、それはストレスを越えてトラウマに近い。人生の方向を転換させるほど、圧倒的な影響を受けたという意味だからだ。

トラウマを誘発する最も大きな要因は、「安全感の喪失」だ。コロナ禍で「コロナブルー」(コロナうつ病)が広がったのは、感染するのではないかという不安な気持ちで社会的孤立を選ぶ人が増えたためだ。個人の緊張レベルが高くなれば、トラウマを残すことができる。ある研究によると、MERS(中東呼吸器症候群)の患者63人を2年間追跡観察した結果、病気を患ってから慢性疲労を感じた人々は自殺についてより多く考えたという。

周りの人と社会が共感できなければ、トラウマの苦痛はさらに深刻化する。昨年起きた梨泰院ハロウィーン惨事の被害者に向かって、「なぜ梨泰院に行ったのか」と批判するのがその例だ。セウォル号惨事の遺族に加えられた書き込みの暴力も遺族の傷を暴く。著者は、「嫌悪と偏見に起因した発言は、心に大きな火傷を負った人に再び火傷を負わせる明白な暴力だ」と指摘した。


崔智善 aurinko@donga.com