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バルカン最貧国コソボで総選挙 与党が勝利するも過半数に届かず、政局は不透明

バルカン最貧国コソボで総選挙 与党が勝利するも過半数に届かず、政局は不透明

Posted December. 30, 2025 09:55,   

Updated December. 30, 2025 09:55


人口160万人の東欧バルカン半島の小国コソボで前倒し総選挙が行われ、「反セルビア」民族主義色の強い与党が政権維持に成功した。ただ、2月の総選挙に続き今回も過半数議席の確保には至らず、1年近く続く政治的混乱が今後も続く見通しだ。

28日、ロイター通信などによると、開票が約99%まで進んだ段階で、与党の自決党(LVV)が得票率49.3%で首位となった。中道右派の野党、コソボ民主党(PDK)とコソボ民主同盟(LDK)がそれぞれ21.0%と13.6%で続いた。左派民族主義色の自決党は、今年2月の総選挙で120議席中48議席(42.3%)を獲得して第1党となったが、野党が連立政権の構成を拒否し、再選挙が行われていた。

コソボはかつてセルビアの自治地域だったが、2008年に独立した。人口の90%以上はイスラム教を信仰するアルバニア系だが、北部のセルビア国境地域では、キリスト教を信仰するセルビア系が多数を占める。1991年に旧ユーゴスラビア連邦が解体された後、セルビアは1998~1999年にコソボのアルバニア系分離主義勢力を大量虐殺した。いわゆる「コソボ紛争」と呼ばれるこの事態では、約1万3000人が犠牲となり、20世紀欧州最悪級の紛争とされている。

コソボは2022年に欧州連合(EU)加盟を申請したが、スペイン、ギリシャ、ルーマニア、スロバキア、キプロスなど一部加盟国が国家承認に反対している。反セルビア学生運動の指導者出身であるアルビン・クルティ首相の政権発足後、セルビアとの対立は深まり、仲介を試みる西側諸国との関係も悪化した。2023年にはセルビアとの武力衝突が起き、EUがコソボに経済制裁を科したこともある。

今回の勝利により、自決党代表のクルティ首相は再任される見通しだ。クルティ首相は「時間を無駄にする余裕はない。できるだけ早く共に前進すべきだ」と述べ、野党に協力を呼びかけた。ただ、野党はクルティ首相が少数民族弾圧で外交的孤立を招いたと批判しており、連立交渉は難航が予想される。米政治メディアのポリティコは、コソボが今回も政府を樹立できなければ、EUによる西バルカン地域向け60億ユーロ(約10兆2000億ウォン)の資金支援を受けられなくなるとの見通しを示した。コソボの昨年の1人当たりの国内総生産(GDP)は7023ドル(約1011万ウォン)で、EU平均の6分の1にとどまる。


キム・ユンジン記者 kyj@donga.com