北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記は25日、韓国の原子力潜水艦(原潜)の推進について「必ず対応すべき安全上の脅威と見なす」と述べ、米国の主力原潜であるバージニア級を上回る規模の戦略原潜(SSBN)を公開した。韓米間の原潜開発合意に対し、正恩氏が直接反応したのは初めてだ。北朝鮮が対米核戦力の完成を象徴する「最終兵器」とされる北朝鮮版SSBNの完成を含む一連の示威行動を続ける中、原潜が北東アジア情勢を揺るがす新たな変数となるとの見方が出ている。
正恩氏は、排水量8700トン級の「核動力戦略誘導弾潜水艦建造事業」の現地指導で、「ソウルの働きかけを受け、ワシントンと合意された韓国の原潜開発計画は、韓半島地域の不安定化を招く」とし、「わが国家の安全と海上主権を侵害する攻撃的行為」と述べたと、朝鮮中央通信が25日に報じた。韓米が23~24日に原潜に関する別途協定の推進で合意したとの報道が出た翌日に正恩氏の発言が公開され、対韓・対米の敵対的メッセージを鮮明にした形だ。
正恩氏はさらに、「敵がわれわれの戦略的主権と安全に触れるなら、必ず代価を払うことになり、軍事的選択を企てれば容赦ない報復攻撃を受ける」と警告した。そのうえで、「絶対的な安全を担保する核の盾を一層強化し、その不可逆的地位を確固たるものにすることは、われわれの世代の崇高な使命だ」とし、「核戦力の構築によって国家の恒久的な平和環境と絶対的安全を保障しようとする、わが党と共和国政府の決意は不変だ」と述べ、非核化拒否の姿勢を改めて確認した。
韓国統一部関係者は、「正恩氏が原潜について初めて言及した点を注視している」とし、「視察自体は米国の原潜が釜山(プサン)に入港したことへの対応だが、内容を見ると、自らの原潜開発の正当性を強調し、対外的に誇示することに焦点が当てられている」と分析した。北朝鮮国防省報道官も同日の談話で、米原潜「グリーンビル」の釜山入港について「韓半島と地域の軍事的緊張を高める重大な情勢不安定行為だ」と非難した。
北朝鮮が「北朝鮮版SSBN」の船体の一部のみを公開した3月の初公開時とは異なり、9カ月ぶりにほぼ完成した船体を公開したのは、来年初めの第9回党大会を前に、原潜建造の成果を国内外に誇示する狙いがあるとみられる。北朝鮮版SSBNが来年に進水し、3~4年以内に実戦配備される可能性が指摘される中、2030年代半ばの原潜確保を目指す韓国より数年先行して北朝鮮の原潜戦力化が実現するかが注目される。
北朝鮮のミサイル総局は24日、正恩氏の立ち会いの下、新型の長距離地対空ミサイルを東海(トンへ・日本海)上で試験発射したと、北朝鮮メディアが伝えた。
申나리 journari@donga.com
アクセスランキング