
米軍が、ベネズエラ近隣のカリブ海地域に特殊作戦用航空機や兵力、装備を移動配備したと、23日、米紙ウォールストリート・ジャーナルなどが報じた。トランプ米大統領は、2013年から長期政権を続けているものの、不正選挙や反対派への弾圧、麻薬密売などで批判を受けているベネズエラのマドゥロ大統領に対し、自発的な退陣を強く迫り、各種の制裁や軍事的な威嚇を加えている。
米軍が地上での特殊作戦を遂行できる兵力や兵器までベネズエラ周辺海域に移動させたことで、マドゥロ政権を狙った米国の軍事行動が差し迫っているのではないかとの観測が流れている。圧力を最大限まで高め、何らかの形で政権交代を実現しようとしているとの見方だ。トランプ氏は最近も、マドゥロ氏の退陣が必要だと述べ、地上攻撃を含む軍事オプションを排除しない姿勢を示している。
●CV22、C17など特殊部隊兵器をカリブ海に急派
同紙によると、米特殊部隊が使用するオスプレイ輸送機「CV22」が少なくとも10機、22日夜に米ニューメキシコ州キャノン空軍基地からカリブ海地域へ飛行した。ジョージア州フォート・スチュワート基地、ケンタッキー州とテネシー州にまたがるフォート・キャンベル陸軍基地を出発した貨物輸送機C17も同日、カリブ海の米領プエルトリコへ移動した。米当局者は同紙に対し、これらの航空機が兵士と装備を輸送したことを認めたが、具体的な部隊名は明らかにしなかった。
CV22はヘリコプターのように垂直離着陸が可能な特殊作戦機で、部隊の潜入などに用いられる。キャノン基地には第27特殊作戦大隊が、フォート・キャンベル基地には第160特殊作戦航空連隊と第101空挺師団が、フォート・スチュワート近郊の飛行場には第75レンジャー連隊が駐屯している。
第27特殊作戦大隊と第160特殊作戦航空連隊は高リスクの潜入・脱出や近接航空の支援に特化している。陸軍レンジャーが飛行場の制圧、デルタフォースなどの特殊部隊が精密除去・捕獲作戦を行う際の護衛を担う。空軍中将として退役したミッチェル航空宇宙研究所(MIAS)のデービッド・デプチュラ所長は「(マドゥロ政権に)行動を起こすための兵力が事前配置されている」と述べ、米軍の作戦が目前に迫っている可能性を示唆した。
トランプ氏は1期目からマドゥロ政権の麻薬密売、人身売買、不正選挙を理由に政権交代を迫ってきた。反米・親中路線も敵視の要因とされる。政権を右派政権に交代させ、ベネズエラの巨大な原油産業に介入して利権を確保しようとしているとの分析もある。米エネルギー情報局(EIA)によると、ベネズエラの原油埋蔵量は3030億バレルで、世界最大だ。
●中ロが反発―「安全資産」金・銀が急騰
中国とロシアは米国の動きに強く反発している。中国国営新華社通信などによると、中国の孫磊国連次席大使は23日、ニューヨークの国連本部で開かれた安全保障理事会の緊急会合で、「米国の行動は他国の主権と安全、正当な利益を深刻に侵害している」と批判した。ロシアのネベンジャ国連大使も「米国は国際法に違反している」と同調した。
一方、米国のウォルツ国連大使は「米国はマドゥロ氏をベネズエラの合法的指導者とは認めない」と反論し、原油収入が犯罪組織やテロ組織の資金に使われているとして、制裁や軍事的圧力の正当性を主張した。
カリブ海地域の緊張が高まる中、安全資産とされる金と銀の価格は史上最高値を更新した。23日のニューヨーク商品取引所では、2月渡しの金先物が前日比0.8%高の1オンス(約31.1グラム)当たり4505.7ドルで取引を終えた。年初の2600ドル台から、国際的な地緊張の高まりを背景に、安全資産志向が強まったことで70%以上上昇した。銀の現物価格も初めて1オンス当たり70ドルに達した。
申晋宇 niceshin@donga.com






