Go to contents

仏、「捕食者の時代」見据え新型原子力空母建造へ 英も戦力強化

仏、「捕食者の時代」見据え新型原子力空母建造へ 英も戦力強化

Posted December. 23, 2025 10:17,   

Updated December. 23, 2025 10:17


「『捕食者の時代(Era of Predators)』に備えなければならない。新たな原子力空母が必要だ」

フランスのマクロン大統領は21日、新規の原子力空母を建造する計画を明らかにした。全長310メートル、重量7万8千~8万トン級で、国産の戦闘機「ラファール」約30機と乗員約2千人を収容できる。現在運用中の原子力空母「シャルル・ド・ゴール」(約4万2千トン)のほぼ2倍に当たる。費用は少なくとも102億5千万ユーロ(約17兆8千億円)と見込まれる。

フランスの昨年の財政赤字は国内総生産(GDP)比5.8%の1696億ユーロ(約294兆ウォン)だ。政府債務比率はGDP比114%に達し、いずれも欧州主要国で高水準だ。

厳しい財政状況の中で巨額の空母建造に踏み切るのは、「安全保障の自立」が一段と切迫している現実を反映した判断とみられる。ウクライナ戦争の長期化、欧州各国に防衛費増額を強く迫るトランプ米大統領、軍事力を強化し影響力を拡大する中国など、複合的な安全保障リスクへの対応には、軍事力の底上げが不可避だという認識だ。

●「新空母で『捕食者の時代』に備える」

ロイター通信などによると、アラブ首長国連邦(UAE)を訪問中のマクロン氏は同日、アブダビ近郊のザイード仏軍基地で「次世代空母の建造計画を開始することを決定した」と述べた。規模は中国が最近就役させた「福建」に近いが、最大10万トン級を運用する米国よりは小さい。

マクロン氏は、現下の国際情勢を「捕食者の時代」と位置付け、「とりわけ海上で強くなければならない」と強調した。新空母は、2001年就役の「シャルル・ド・ゴール」が退役を迎える38年前後に就役する見通しだ。

フランス政府は近年、軍備強化を加速させている。27年の国防予算目標は640億ユーロとされ、17年の約2倍。30年までに4万人規模の予備役を8万人に拡大する方針も示した。

新空母計画を国内ではなく海外で表明した点も注目される。ザイード基地には約900人のフランス軍が駐留し、UAEはフランス製兵器の主要な購入国だ。21年には戦闘機「ラファール」80機を約190億ドル(約28兆ウォン)で購入し、今年から引き渡しが始まっている。マクロン氏は同日、ムハンマド大統領と会談し、中東の安定に向けた協力強化も協議した。

一方、フランス国内では財政難で年金改革が停滞する中、空母建造に懸念を示す声もある。英誌エコノミストは「2026年の世界展望」で、主要先進国で財政危機が起きる可能性に触れ、フランスをその候補に挙げた。

●英国も空母戦力を強化

英国も空母戦力の強化を進めている。先月、ヒーリー国防相は、空母「プリンス・オブ・ウェールズ」が「完全運用能力(FOC)」に達したと発表した。

FOCは空母がすべての任務を制限なく遂行できる状態に達したことを意味する。これには空母に戦闘機が最大収容可能な数まで搭載・出撃できる状態でなければならない。また駆逐艦や護衛艦、潜水艦、補給艦などを含む空母打撃群を編成し、制約なく任務を遂行できる状態を指す。

英政府は、米国、イタリア、フランスなどと地中海で行った演習「ファルコン・ストライク2025」を通じて、このような能力を獲得したとしている。英国は6万5千トン級の「クイーン・エリザベス」「プリンス・オブ・ウェールズ」の2隻を保有する。

英国もフランスと同様に財政赤字および国家負債増加の懸念に苦しんでいる。それにもかかわらず軍事力強化に乗り出したのも、やはり安保自立のためだと解釈される。ザ・タイムズは、米国への軍事依存度を下げるため、英国の空母戦力強化が不可避だと診断した。

英国もフランスと同様に財政赤字と債務増大に直面しつつも軍備を強化するのは、安全保障の自立を図るためだ。英紙タイムズは、米国への軍事依存を下げるためには空母戦力の強化が不可欠だと指摘した。


イ・ギウク記者 71wook@donga.com